23PM117|第23回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
病証で最も適切なのはどれか。「69歳の男性。主訴は呼吸促迫。冬になると症状が増悪する。少し動くだけで息切れが起こる。手足は冷たく、痰は希薄で色は白っぽい。舌質は淡白、脈は弱。」
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4
この問題のポイント
陽虚の病証を読み取る問題です。
69歳男性、呼吸促迫、冬に増悪、少し動くと息切れ、手足が冷たい、痰は希薄で白っぽい、舌質は淡白、脈は弱という所見を統合します。
解説
所見を一つずつ確認します。
手足が冷たいことと冬になると増悪することは、身体を温める陽気の不足を直接示します。痰が希薄で色が白いことも、熱ではなく寒の性質を示す所見です(黄色く粘い痰は熱を示します)。舌質が淡白であること、脈が弱いことも、陽気と気の不足を裏づけます。少し動くだけで息切れすることは、気の不足(特に肺気と腎気)を示します。
以上をまとめると、気虚の症状に加えて**明らかな寒の症状(冷え)**を伴うため、陽虚と判断されます。これが正答です。高齢であることから、肺と腎の陽虚(腎不納気を伴う)が背景にあると考えられます。治療では、肺兪、腎兪、膏肓、気海、関元、命門、足三里、太渓などを用い、灸法を併用して温めることが有効です。
気虚は、倦怠感、息切れ、自汗、疲れやすさ、淡白舌、弱脈が特徴です。ただし、冷えの症状は伴いません。陽虚は「気虚+寒の症状」と理解すると、両者の区別が明確になります。
血虚は、顔色と唇、爪の血色不良、めまい、動悸、不眠、手足のしびれ、淡白舌、細脈が特徴です。冷えを主症状とするものではありません。
陰虚は、五心煩熱(手足のほてり)、盗汗、口や咽の乾燥、微熱、舌質紅で少苔、脈細数が特徴です。この症例の冷えと淡白舌とは正反対の所見です。
選択肢の確認
1.気虚
誤り。倦怠感と息切れは共通しますが、冷えの症状は伴いません。
2.血虚
誤り。顔色不良やめまい、細脈が特徴です。
3.陰虚
誤り。ほてりと乾燥、紅舌少苔、細数脈が特徴で、この症例と逆です。
4.陽虚
正しい。冷え、白く希薄な痰、淡白舌、弱脈から陽虚と判断されます。
覚えるポイント
- 陽虚=気虚+寒の症状(冷え、寒がり、温めると軽減)。淡白舌、沈遅脈または弱脈。
- 陰虚=五心煩熱、盗汗、乾燥、紅舌少苔、細数脈。
- 痰の性状=白く希薄なら寒、黄色く粘るなら熱。
- 陽虚の治療=温補。灸法が有効。関元、気海、命門、腎兪、足三里。