23PM137|第23回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「65歳の男性。1か月前から右足の冷えと歩行中の痛みが出るようになった。休むと痛みが軽減し、再び歩くことができる。ただし、前屈み姿勢により痛みは変化しなかった。痛みの部位はふくらはぎと足底。動脈の触診では膝窩動脈の拍動を確認できたが、右側下腿の動脈拍動は減弱。」歩行中の痛みを起こす原因はどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
間欠跛行の原因を鑑別する問題です。
65歳男性、右足の冷えと歩行中の痛み、休むと軽減、前屈み姿勢で変化しない、痛みはふくらはぎと足底、右下腿の動脈拍動が減弱という所見を統合します。
解説
間欠跛行(歩くと下肢が痛み、休むとまた歩ける)には、大きく二つの原因があります。
血管性(閉塞性動脈硬化症)では、動脈の狭窄により運動時に筋への血流が不足し、筋の虚血によって痛みが生じます。立ち止まるだけで軽減し、姿勢とは無関係です。あわせて、足の冷感、皮膚の色調変化、脱毛、爪の変形、そして末梢動脈の拍動の減弱または消失がみられます。
**神経性(腰部脊柱管狭窄症)**では、脊柱管が狭くなって神経が圧迫され、歩行により症状が増強します。前かがみになると脊柱管が広がるため軽減するのが特徴で、自転車には長く乗れます。しびれを伴い、動脈拍動は正常です。
この症例では、前屈み姿勢で痛みが変化しないこと、足の冷えがあること、そして下腿の動脈拍動が減弱していることから、血管性の間欠跛行、すなわち閉塞性動脈硬化症と判断されます。したがって歩行中の痛みの原因は筋肉の虚血であり、これが正答です。
L5神経根の刺激は、神経性の間欠跛行や椎間板ヘルニアの機序です。この症例では前かがみで変化せず、動脈拍動が減弱している点が合いません。
末梢神経の炎症は、神経炎による痛みの機序で、歩行と休息に明確に対応する間欠跛行の説明にはなりません。
筋肉の内圧上昇は、慢性労作性コンパートメント症候群の機序です。運動により筋の内圧が高まって痛むもので、若年のスポーツ選手に多く、動脈拍動の減弱は伴いません。
選択肢の確認
1.L5神経根の刺激
誤り。神経性の間欠跛行の機序で、前かがみで軽減します。
2.筋肉の虚血
正しい。動脈の狭窄により運動時に血流が不足して生じます。
3.末梢神経の炎症
誤り。間欠跛行の典型的な機序ではありません。
4.筋肉の内圧上昇
誤り。慢性労作性コンパートメント症候群の機序です。
覚えるポイント
- 血管性(閉塞性動脈硬化症)=立ち止まるだけで軽減、姿勢と無関係、冷感と動脈拍動の減弱。
- 神経性(腰部脊柱管狭窄症)=前かがみで軽減、しびれを伴う、動脈拍動は正常。自転車は乗れる。
- 閉塞性動脈硬化症の危険因子=喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常症。
- 重症例では安静時痛と潰瘍、壊死に至る。速やかな医療機関の受診を勧める。