23PM138|第23回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「65歳の男性。1か月前から右足の冷えと歩行中の痛みが出るようになった。休むと痛みが軽減し、再び歩くことができる。ただし、前屈み姿勢により痛みは変化しなかった。痛みの部位はふくらはぎと足底。動脈の触診では膝窩動脈の拍動を確認できたが、右側下腿の動脈拍動は減弱。」拍動の減弱を呈する動脈に向けた刺鍼で、足の冷えと痛みを治療するのに適切な経穴はどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
拍動が減弱した動脈を特定し、その部位の経穴を選ぶ問題です。
解説
この症例では、膝窩動脈の拍動は触れるが、下腿の動脈拍動が減弱しています。すなわち、膝窩動脈より末梢、下腿の動脈に狭窄があると考えられます。
下腿で拍動を触れる主な動脈は、後脛骨動脈(内果の後方)と足背動脈(足背)です。
太渓は足の少陰腎経の原穴で、足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部に取ります。この部位こそが後脛骨動脈の拍動を触れる場所であり、下肢の血流を評価する診察点でもあります。したがって、拍動の減弱を呈する動脈に向けた刺鍼として最も適切であり、これが正答です。足の冷えと痛みに対して、この部位への施術は末梢循環の改善を図る目的にかないます。あわせて三陰交、復溜、崑崙、衝陽なども用いられます。
ただし、閉塞性動脈硬化症では組織の血流が乏しく、創傷が治りにくいため、刺鍼による皮膚の損傷と感染に十分な注意が必要です。潰瘍や壊死がある場合、また安静時痛がある場合は、施術より医療機関での評価を優先します。
衝門は足の太陰脾経の経穴で、鼠径部、鼠径溝、大腿動脈拍動部の外方にあります。より近位の動脈であり、この症例で減弱している下腿の動脈ではありません。
委中は足の太陽膀胱経の合土穴で、膝窩横紋の中央にあります。この部位を通るのは膝窩動脈であり、この症例では拍動が保たれている動脈です。
太衝は足の厥陰肝経の原穴で、足背、第1・第2中足骨間にあります。足背動脈の拍動を触れるのは衝陽(胃経の原穴)であり、太衝はやや内側になります。
選択肢の確認
1.衝門
誤り。鼠径部の大腿動脈拍動部にあります。
2.委中
誤り。膝窩動脈の部位であり、拍動は保たれています。
3.太渓
正しい。内果とアキレス腱の間にあり、後脛骨動脈の拍動部です。
4.太衝
誤り。足背にあり、足背動脈の拍動部は衝陽です。
覚えるポイント
- 太渓=腎経の原穴、内果尖とアキレス腱の間。後脛骨動脈の拍動部。
- 衝陽=胃経の原穴、足背。足背動脈の拍動部。下肢の血流評価に用いる。
- 委中=膝窩動脈、衝門・箕門=大腿動脈、太淵=橈骨動脈、人迎=総頸動脈。
- 閉塞性動脈硬化症では創傷治癒が遅く感染しやすい。刺鍼と施灸に慎重な配慮を要する。