23PM140|第23回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「57歳の女性。閉経は54歳。最近、顔のほてりと発汗が頻発し、耳鳴り、めまい、手足のほてり、腰部の重だるさ、肩こりを随伴し受診した。ホルモン検査で異常が指摘された。舌質は暗紅、舌苔は少なくやや乾燥。脈は細数。小腹不仁が認められた。」患者の病証への治療方針で適切なのはどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
腎陰虚の病証を読み取り、治療方針を選ぶ問題です。
57歳女性、顔のほてりと発汗、耳鳴り、めまい、手足のほてり、腰部の重だるさ、舌質は暗紅、舌苔は少なく乾燥、脈は細数、小腹不仁という所見を統合します。
解説
所見を確認します。
手足のほてり(五心煩熱)、顔のほてりと発汗は、陰液が不足して相対的に熱が目立つ虚熱の所見です。舌苔が少なく乾燥していること、舌質が紅い(暗紅)こと、脈が細数であることは、いずれも陰虚を示す典型的な所見です。
腰部の重だるさは「腰は腎の府」であることから、耳鳴りは「腎は耳に開竅する」ことから、いずれも腎の失調を示します。めまいも腎精が髄を生じ脳を養うという関係から説明されます。
**小腹不仁(臍下不仁)**は、下腹部の力が弱く知覚も鈍い腹証で、腎虚を示す代表的な所見です。
以上をまとめると腎陰虚と判断されます。年齢と閉経の経過からも、加齢に伴う腎精・腎陰の不足が背景にあると理解できます。
したがって治療方針は**腎陰を補う(滋補腎陰)**ことであり、これが正答です。太渓(腎経の原穴)、復溜、照海、三陰交、腎兪、関元、志室などを用います。陰虚には熱を助長する強い刺激や過度な灸を避け、穏やかな補法を選びます。
心血を補うのは、動悸、不眠、健忘、顔色不良、淡白舌がみられる心血虚に対する方針です。
肝陽を抑えるのは、頭痛(脹痛)、めまい、顔面紅潮、いらいらが強い肝陽上亢に対する方針です。この症例にもめまいはありますが、中心となるのは腎陰の不足です。
瘀血を除くのは、刺痛、舌質紫暗、舌下静脈の怒張、濇脈、小腹急結がみられる場合の方針です。この症例の腹証は小腹不仁であり、小腹急結とは異なります。
選択肢の確認
1.心血を補う
誤り。動悸や不眠、淡白舌が中心の場合の方針です。
2.肝陽を抑える
誤り。頭痛と顔面紅潮、いらいらが強い場合の方針です。
3.腎陰を補う
正しい。五心煩熱、腰のだるさ、耳鳴り、少苔、細数脈、小腹不仁から腎陰虚と判断されます。
4.瘀血を除く
誤り。刺痛と小腹急結がみられる場合の方針です。
覚えるポイント
- 腎陰虚=五心煩熱、盗汗、耳鳴り、めまい、腰膝のだるさ、紅舌少苔、細数脈、臍下(小腹)不仁。
- 腎は耳と二陰に開竅し、腰は腎の府、髄を生じて脳を養う。
- 治療=滋補腎陰(太渓、復溜、照海、三陰交、腎兪、関元)。強い刺激と過度の灸を避ける。
- 小腹不仁=腎虚、小腹急結=瘀血。腹証の区別が重要。