23PM99|第23回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「56歳の男性。主訴は食欲不振。腹部の痞えや膨満感、重痛を伴う。口が粘る、口苦、臭いの強い下痢がみられる。」最も適切な病証はどれか。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
脾胃の湿熱の病証を読み取る問題です。
56歳男性、食欲不振、腹部の痞えと膨満感、重痛、口が粘る、口苦、臭いの強い下痢という所見を統合します。
解説
所見を一つずつ確認します。
**口が粘る(口粘)と身体や腹部の重だるさ(重痛)**は、湿の重濁性と粘滞性を示す典型的な所見です。
口苦は熱、特に肝胆の熱を示す所見です。
臭いの強い下痢も熱を示します。湿熱による下痢は、粘り気があり悪臭が強く、排便後もすっきりしない(裏急後重に近い)のが特徴です。これに対し、脾虚による下痢は未消化物を含み臭いが少なく、寒による下痢は水様で透明感があります。
腹部の痞えと膨満感は、湿熱が中焦(脾胃)に停滞して気の流れを妨げていることを示します。
以上をまとめると湿熱、より詳しくは脾胃の湿熱の病証と判断されます。したがってこれが正答です。治療では清熱利湿を図り、陰陵泉、豊隆、内庭、足三里、中脘、天枢、脾兪などを用います。飲酒や脂っこいもの、甘いものの摂りすぎが背景にあることが多いため、食生活の見直しも重要です。
気滞は、脹痛、部位が移動しやすい、情志で変動する、太息、弦脈が特徴です。口が粘る、臭いの強い下痢という所見は説明できません。
陽虚は、冷え、寒がり、水様の下痢、舌淡胖、脈沈遅が特徴で、熱の所見とは逆です。
陰虚は、五心煩熱、盗汗、口や咽の乾燥、舌紅少苔、脈細数が特徴です。口が粘るという湿の所見とは合いません。
選択肢の確認
1.気滞
誤り。脹痛と弦脈、情志による変動が特徴です。
2.陽虚
誤り。冷えと水様の下痢が特徴で、熱の所見と逆です。
3.陰虚
誤り。乾燥と少苔が特徴で、湿の所見と合いません。
4.湿熱
正しい。口が粘る、口苦、臭いの強い下痢、重痛から湿熱と判断されます。
覚えるポイント
- 湿熱=口が粘る、口苦、身体の重だるさ、臭いの強い下痢や分泌物、黄膩苔、滑数脈。
- 下痢の鑑別=湿熱(悪臭、粘る)、脾虚(未消化物、臭い少ない)、寒(水様)、食滞(腐臭)。
- 治療=清熱利湿。陰陵泉、豊隆、内庭、中脘、天枢、脾兪。
- 背景に飲酒、脂っこいもの、甘いものの摂りすぎがあることが多い。