24AM79|第24回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「50歳の男性。大酒家である。軽度の意識障害で受診した。眼球の黄染、胸部のクモ状血管拡張と著明な腹水がみられた。また、上肢の不規則な運動が認められた。」本症例でみられる上肢の所見はどれか。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
肝性脳症でみられる不随意運動を問う問題です。
50歳男性、大酒家、軽度の意識障害、眼球の黄染(黄疸)、クモ状血管拡張、著明な腹水、上肢の不規則な運動という所見を統合します。
解説
大酒家で、黄疸、クモ状血管腫、腹水がみられることから、アルコール性肝硬変と判断されます。そこに軽度の意識障害が加わっていることから、肝性脳症を発症していると考えられます。
肝性脳症でみられる特徴的な不随意運動が羽ばたき振戦(アステリキシス)です。両上肢を前に伸ばして手関節を背屈させると、手がパタパタと羽ばたくように不規則に上下する現象で、筋の緊張が一瞬失われることによって生じます。したがって上肢の所見として振戦が正答です。羽ばたき振戦は、肝性脳症のほか尿毒症、高二酸化炭素血症でもみられます。
肝性脳症は、肝機能の低下と門脈大循環短絡により、アンモニアなどの毒性物質が肝で処理されずに脳に達することで生じます。症状は、睡眠リズムの逆転や多幸感といった軽度の変化から始まり、羽ばたき振戦、見当識障害、傾眠、昏睡へと進行します。誘因としては、消化管出血、便秘、感染、脱水、蛋白質の過剰摂取、利尿薬による電解質異常があります。
けいれんは、大脳の異常な電気的興奮による発作で、てんかん、脳血管障害、低血糖、電解質異常などでみられます。肝性脳症の典型的な所見ではありません。
バリスムは、四肢を大きく激しく投げ出すような不随意運動で、視床下核の障害でみられます。
アテトーゼは、手指や上肢がゆっくりとくねるように動く不随意運動で、大脳基底核の障害、特にアテトーゼ型脳性麻痺でみられます。
選択肢の確認
1.けいれん
誤り。てんかんや代謝異常でみられる発作です。
2.バリスム
誤り。視床下核の障害でみられる激しい不随意運動です。
3.アテトーゼ
誤り。大脳基底核の障害でみられるくねるような運動です。
4.振戦
正しい。肝性脳症でみられる羽ばたき振戦にあたります。
覚えるポイント
- 羽ばたき振戦(アステリキシス)=肝性脳症、尿毒症、高二酸化炭素血症。
- 肝性脳症=アンモニアなどが脳に達する。睡眠リズムの逆転から昏睡まで段階的に進行。
- 誘因=消化管出血、便秘、感染、脱水、蛋白質の過剰摂取。
- 肝硬変の所見=黄疸、クモ状血管腫、手掌紅斑、女性化乳房、腹水、脾腫と血小板減少。