24PM122|第24回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「65歳の男性。主訴は排尿痛。3年前から自覚するようになった。飲食の不摂生から便がすっきり出ないときに痛みが強くなり、下腹部の不快感を伴う。尿は色が濃くて量が少ない。舌質は紅、舌苔は黄膩。脈は滑数。」患者の東洋医学的病態で適切なのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 1
正答
1
この問題のポイント
下焦の湿熱の病証を読み取る問題です。
65歳男性、排尿痛、飲食の不摂生で悪化、便がすっきり出ない、下腹部の不快感、尿の色が濃く量が少ない、舌質は紅、舌苔は黄膩、脈は滑数という所見を統合します。
解説
所見を確認します。
尿の色が濃く量が少ないことと排尿痛は、膀胱に熱がこもっていることを示します。舌質が紅く舌苔が黄色いことは熱を、苔が膩(べったりしている)ことは湿を示します。脈が滑数であることも、湿(滑)と熱(数)の両方を示す所見です。飲食の不摂生(脂っこいもの、甘いもの、飲酒)によって悪化することも、湿熱が生じる背景として合致します。
これらの症状が下腹部と泌尿器に集中していることから、下焦(臍より下の部分、腎・膀胱・大腸・小腸が位置する)の湿熱と判断されます。したがってこれが正答です。治療では清熱利湿を図り、中極、膀胱兪、陰陵泉、三陰交、委陽、次髎などを用います。あわせて飲食の見直しと十分な水分摂取を指導します。ただし、発熱や血尿を伴う場合、また症状が長引く場合は、感染症、結石、腫瘍の可能性を考えて医療機関の受診を勧めます。
命門の火衰は腎陽虚のことで、冷え、腰膝のだるさ、夜間頻尿、五更泄瀉、陽萎が特徴です。この症例の熱の所見とは逆になります。
粛降の失調は肺の働きの失調で、咳、喘、痰といった呼吸器の症状として現れます。泌尿器の症状ではありません。
運化の低下は脾の失調で、食欲不振、腹満、下痢、倦怠感が中心です。この症例の排尿痛と黄膩苔は、脾の運化低下だけでは説明できません(湿の産生には脾が関わりますが、病態の中心は下焦の湿熱です)。
選択肢の確認
1.下焦の湿熱
正しい。排尿痛、濃い尿、黄膩苔、滑数脈から判断されます。
2.命門の火衰
誤り。腎陽虚であり、冷えと夜間頻尿が特徴です。
3.粛降の失調
誤り。肺の失調であり、呼吸器の症状として現れます。
4.運化の低下
誤り。脾の失調であり、食欲不振と下痢が中心です。
覚えるポイント
- 下焦の湿熱(膀胱湿熱)=排尿痛、頻尿、濃く少ない尿、黄膩苔、滑数脈。
- 三焦の区分=上焦(心・肺)、中焦(脾・胃)、下焦(腎・膀胱・大腸・小腸)。
- 治療=清熱利湿(中極、膀胱兪、陰陵泉、三陰交、委陽、次髎)。
- 発熱、血尿、症状の遷延があれば感染症、結石、腫瘍を疑い受診を勧める。