24PM137|第24回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「42歳の男性。腹痛、腹部膨満感、食欲不振、軟便が2か月続いている。近医の診察で機能性胃腸症と言われた。ストレスが多い仕事に就いている。強いストレスがかかると症状が増悪する。舌苔は白膩。脈は弦。」最も適切な病証はどれか。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
ストレスに関連した消化器症状の病証を判断する問題です。
42歳男性、腹痛、腹部膨満感、食欲不振、軟便、強いストレスで増悪、舌苔は白膩、脈は弦という所見を統合します。
解説
決め手となるのは次の三点です。
強いストレスがかかると症状が増悪すること、そして脈が弦であることは、**肝の疏泄の失調(肝気鬱結)**を示します。弦脈は肝胆の病を示す代表的な脈です。
腹痛、腹部膨満感、食欲不振、軟便という消化器の症状と、白膩苔(湿の停滞を示す)は、脾の運化の失調を示します。
すなわち、滞った肝気が相剋関係にある脾を横から犯し(肝気犯脾)、脾の運化が妨げられた状態です。これを肝脾不和(肝脾の病証)といいます。したがってこれが正答です。治療では、疏肝理気と健脾を併せて図り、太衝、期門、陽陵泉、足三里、天枢、脾兪、肝兪、三陰交などを用います。
脾胃の病証は、食欲不振、腹満、下痢、倦怠感が中心で、情志による変動と弦脈は説明できません。
脾腎の病証(脾腎陽虚)は、冷え、腰膝のだるさ、五更泄瀉(明け方の下痢)、浮腫、舌淡胖、脈沈遅が特徴で、慢性の経過をとります。この症例のストレスによる変動と弦脈は合いません。
肝胃の病証(肝気犯胃)は、肝気の滞りが胃を犯した状態で、胃脘部(みぞおち)の脹痛、噯気(げっぷ)、呑酸、悪心・嘔吐といった胃気上逆の症状が中心となります。この症例では腹痛と軟便という**腸(脾)**の症状が中心であるため、肝脾のほうがより適合します。「胃の症状(嘔吐、げっぷ)が中心なら肝胃、腸の症状(下痢、腹痛)が中心なら肝脾」と整理すると区別できます。
選択肢の確認
1.脾胃の病証
誤り。情志による変動と弦脈が説明できません。
2.脾腎の病証
誤り。冷えと五更泄瀉が特徴で、慢性の経過をとります。
3.肝胃の病証
誤り。胃脘部の脹痛、噯気、呑酸が中心となります。
4.肝脾の病証
正しい。ストレスによる増悪、腹痛と軟便、弦脈に合致します。
覚えるポイント
- 肝脾不和(肝気犯脾)=ストレスで増悪、腹痛と下痢(痛んだ後に下痢して楽になる)、腹満、弦脈。
- 肝胃不和(肝気犯胃)=胃脘部の脹痛、噯気、呑酸、嘔吐。胃の症状が中心。
- 肝は疏泄を主る。滞ると相剋関係にある脾胃を犯す。
- 治療=疏肝理気+健脾(太衝、期門、陽陵泉、足三里、天枢、脾兪)。