25AM79|第25回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「45歳の男性。最近、心窩部から背中の皮膚にかけて痛みが起きる。胸やけ、食欲不振もある。上部消化管内視鏡検査では、胃角部に潰瘍を認め、ヘリコバクター・ピロリの感染を疑った。」本症例の背中の皮膚の痛みで最も適切なのはどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
関連痛の概念を問う問題です。
45歳男性、心窩部から背中の皮膚にかけての痛み、胸やけ、食欲不振、内視鏡で胃角部に潰瘍という所見から判断します。
解説
関連痛は、内臓に生じた痛みが、その内臓とは離れた体表(皮膚)の特定の部位に感じられる現象です。
機序は次のとおりです。内臓からの求心性線維と、特定の皮膚領域からの求心性線維が、同じ脊髄分節(髄節)の後角に入って収束します。脳は、日頃から入力の多い皮膚からの信号として解釈するため、実際には内臓が痛んでいるのに、その髄節に対応する皮膚の部位が痛むように感じられます。この皮膚の領域を**ヘッド帯(関連痛帯)**といい、しばしば知覚過敏を伴います。
この症例では、胃の潰瘍による痛みが、胃と同じ髄節(T6からT9)に対応する背部の皮膚に感じられています。したがって関連痛であり、これが正答です。背部兪穴では膈兪(T7)、肝兪(T9)、胆兪(T10)といった高さにあたります。
空腹時に起こるという記述については、胃潰瘍では食後に痛むことが多く(十二指腸潰瘍では空腹時と夜間に痛むことが多い)、また設問が問うているのは痛みの性質の分類であるため、正答とはなりません。
体性痛であるという記述も誤りです。体性痛は、皮膚、筋、骨、関節、腹膜や胸膜といった体性組織そのものが刺激されて生じる痛みで、部位が明確で鋭いという特徴をもちます。この症例の背部の痛みは、背部の組織そのものが傷んでいるわけではないため、体性痛ではありません(なお、潰瘍が穿孔して腹膜が刺激されれば、鋭い体性痛が生じます)。
内臓痛であるという記述も、この設問では正答となりません。内臓痛は、内臓の伸展、攣縮、虚血によって生じる痛みで、部位がはっきりせず、鈍く、悪心や発汗といった自律神経症状を伴うのが特徴です。この症例の心窩部の痛みは内臓痛にあたりますが、問われているのは背中の皮膚の痛みであり、これは関連痛として説明されます。
選択肢の確認
1.空腹時に起こる。
誤り。痛みの性質の分類を問う設問であり、これには当たりません。
2.関連痛である。
正しい。胃と同じ髄節に対応する背部の皮膚に感じられる痛みです。
3.体性痛である。
誤り。体性組織そのものの刺激による、部位の明確な鋭い痛みです。
4.内臓痛である。
誤り。心窩部の痛みは内臓痛ですが、背部の皮膚の痛みは関連痛です。
覚えるポイント
- 関連痛=内臓の痛みが同じ髄節に対応する皮膚に感じられる。ヘッド帯。
- 内臓痛=部位が不明瞭、鈍い、自律神経症状を伴う。体性痛=部位が明確、鋭い。
- 胃=T6からT9、心臓=T1からT5、肝胆=T7からT10、腎と尿管=T10からL2。
- 心筋梗塞の左肩と左上肢への放散痛、胆石の右肩への放散痛も関連痛。