25PM118|第25回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の病証に対する治療方針で適切なのはどれか。「32歳の男性。項から背中にかけてこわばりを自覚した。強い悪寒と軽い熱っぽさも伴う。鼻がつまり咳が出てきたため来院。脈は浮緊。」
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
**外感病(風寒表証)**を判断し、治療方針を選ぶ問題です。
32歳男性、項から背中のこわばり、強い悪寒、軽い発熱、鼻づまり、咳、脈は浮緊という所見を統合します。
解説
所見を確認します。
脈が浮であることは、邪が表(体表)にあり、正気が体表で邪と戦っていることを示します。すなわち表証です。
脈が緊であることと、悪寒が強く発熱が軽いことは、寒邪の存在を示します。寒邪は凝滞性と収引性をもち、経脈と腠理を収縮させます。
項から背中のこわばりは、寒邪が体表の陽経(特に足の太陽膀胱経)を侵し、経脈が収縮したためです。
鼻づまりと咳は、肺が外邪を受けたことによる宣発と粛降の失調です(肺は皮毛を主り、鼻に開竅します)。
以上をまとめると、風寒表証(風寒の邪による表実証)であり、治療方針は解表(発汗によって表の邪を体外へ追い出すこと)、より正確には辛温解表となります。したがって「解表」が正答です。用いる経穴としては、風門、風池、大椎、列欠、合谷、外関などがあり、発汗を促すために灸や温めた鍼が有効です。あわせて、保温と安静、水分の補給を指導します。
潤肺は、肺を潤す治法で、乾いた咳、痰が少ない、咽の乾燥といった肺陰虚や燥邪による病証に用います。この症例は寒邪による表証であり、該当しません。
利湿は、湿を排出する治法で、むくみ、身体の重だるさ、下痢、帯下といった湿の停滞に用います。この症例には湿を示す所見がありません。
和胃は、胃の働きを調える治法で、胃脘部のつかえ、悪心、嘔吐、げっぷといった胃気の失調に用います。この症例には該当しません。
なお、同じ表証でも風熱であれば、発熱が強く悪寒が軽い、咽の腫れと痛み、口渇、脈は浮数となり、辛涼解表を用います。両者の鑑別が重要です。
選択肢の確認
1.解表
正しい。表にある寒邪を発汗によって追い出す治法です。
2.潤肺
誤り。肺陰虚や燥邪による乾いた咳に用います。
3.利湿
誤り。湿の停滞によるむくみや重だるさに用います。
4.和胃
誤り。胃気の失調による悪心や嘔吐に用います。
覚えるポイント
- 風寒表証=悪寒が強く発熱は軽い、無汗、項背のこわばり、鼻閉、浮緊脈。→辛温解表。
- 風熱表証=発熱が強く悪寒は軽い、咽の腫痛、口渇、浮数脈。→辛涼解表。
- 解表の常用穴=風門、風池、大椎、列欠、合谷、外関。風寒には灸が有効。
- 脈浮=表証、脈沈=裏証。悪寒と発熱の強弱で寒熱を判断する。