25PM128|第25回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例で罹患筋を対象に施術する場合、最も適切なのはどれか。「32歳の男性。野球チームでピッチャーをしている。最近、投球動作でフォロースルー期に肩後方の痛みを感じるようになった。」
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
投球障害肩において、フォロースルー期に痛む部位から罹患筋を推定する問題です。
解説
投球動作は、ワインドアップ期、コッキング期、加速期、フォロースルー期(減速期)、フォロースルー完了期に分けられます。
フォロースルー期は、ボールを放した後に前方へ振り抜かれる上肢を減速させる局面です。このとき、肩関節が前方へ引き出されるのを制動するために、肩の後方の筋が強く遠心性収縮を行います。すなわち、棘下筋と小円筋(外旋筋)、そして後方の関節包に大きな負荷がかかります。
したがって、この症例のフォロースルー期の肩後方の痛みに対して施術する罹患筋としては、小円筋が最も適切であり、これが正答です。局所治療穴は肩貞(腋窩横紋後端の上方1寸)であり、あわせて棘下筋に対する天宗も用いられます。
前鋸筋は、肩甲骨を前方へ引き出し、上方回旋を助ける筋です。麻痺すると翼状肩甲を呈します。投球障害では肩甲骨の安定性という点で重要ですが、フォロースルー期の肩後方の痛みを直接説明する筋ではありません。
小胸筋は、烏口突起に停止し肩甲骨を前下方へ引く筋で、肩の前方に位置します。短縮すると肩甲骨が前傾して姿勢の異常を招き、また**胸郭出口症候群(小胸筋症候群)**の原因にもなりますが、肩後方の痛みの罹患筋ではありません。
肩甲下筋は、肩甲骨の前面(肩甲下窩)から起こり小結節に停止する内旋筋です。回旋筋腱板の一つですが、位置は肩の前方であり、コッキング期後半に負荷がかかる筋です。肩後方の痛みには一致しません。
投球障害肩では、これらの筋の評価に加えて、肩甲骨の動きと体幹、下肢を含めた全身の連動、投球フォーム、投球数の管理を総合的に見直すことが重要です。特に成長期では、**上腕骨近位骨端線離開(リトルリーガーショルダー)**にも注意が必要です。
選択肢の確認
1.前鋸筋
誤り。肩甲骨の前方への引き出しと上方回旋に働きます。
2.小胸筋
誤り。肩の前方にあり、胸郭出口症候群にも関わります。
3.肩甲下筋
誤り。肩甲骨前面から起こる内旋筋です。
4.小円筋
正しい。フォロースルー期に遠心性収縮で負荷がかかる後方の外旋筋です。
覚えるポイント
- フォロースルー期=肩後方の筋(棘下筋、小円筋)が遠心性収縮で減速を担う。
- 局所穴=肩貞(小円筋)、天宗(棘下筋)。
- コッキング期後半=前方の関節包と肩甲下筋に負荷。肩の前方の痛み。
- 成長期の投球障害では上腕骨近位骨端線離開に注意。投球数の管理が重要。