25PM130|第25回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例に対する治療でデルマトームを応用した経穴として最も適切なのはどれか。「22歳の女性。主訴は便秘。便意の抑制の習慣化により発症した。近医を受診し、器質的病変は認められなかった。」
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
**デルマトーム(髄節支配)**の考え方を、便秘の治療に応用する問題です。
解説
排便の機能は、次の神経によって支配されています。副交感神経(骨盤内臓神経、S2からS4)=直腸の収縮と内肛門括約筋の弛緩を促し、排便を促進する。交感神経(下腹神経、T11からL2)=直腸を弛緩させ内肛門括約筋を収縮させて蓄便に働く。体性神経(陰部神経、S2からS4)=外肛門括約筋を随意的に支配する。
この症例は、便意の抑制の習慣化によって発症した、器質的病変のない**機能性の便秘(習慣性便秘、直腸性便秘)**です。便意を我慢し続けることで直腸の感受性が低下し、便意が起こりにくくなった状態です。
したがって、**仙髄(S2からS4)**に関わる部位を刺激して排便反射を促すことが理にかなっています。
中髎は足の太陽膀胱経の経穴で、第3後仙骨孔に取ります。すなわちS3の高さにあたり、骨盤内臓神経の起始する髄節に一致します。したがってこれが正答です。八髎穴(上髎、次髎、中髎、下髎)は、排尿と排便、生殖器の機能の調節に広く用いられ、仙骨部への施灸も有効です。
膈兪は**第7胸椎(T7)**の高さにあり、上腹部と横隔膜の高さに対応します。便秘に対する髄節としては合いません(なお膈兪は八会穴の血会です)。
胃兪は**第12胸椎(T12)**の高さにあり、胃の髄節支配に対応します。胃の症状には有用ですが、排便反射の髄節ではありません。
大腸兪は**第4腰椎(L4)**の高さにあり、名称からは便秘に用いる代表的な経穴です。実際に臨床でよく用いられますが、L4は骨盤内臓神経の髄節(S2からS4)ではありません。この設問はデルマトーム(髄節)の応用を問うているため、S3にあたる中髎がより適切となります。
あわせて、便秘の指導としては、規則正しい排便習慣(便意を我慢しない)、食物繊維と水分の十分な摂取、適度な運動、腹部のマッサージが重要です。
選択肢の確認
1.膈兪
誤り。第7胸椎の高さであり、髄節が一致しません。
2.胃兪
誤り。第12胸椎の高さであり、胃の髄節に対応します。
3.大腸兪
誤り。第4腰椎の高さであり、仙髄ではありません。
4.中髎
正しい。第3後仙骨孔にあり、骨盤内臓神経の髄節に一致します。
覚えるポイント
- 排便を促す副交感神経=骨盤内臓神経(S2からS4)。八髎穴が対応する。
- 中髎=第3後仙骨孔(S3)。上髎(S1)、次髎(S2)、中髎(S3)、下髎(S4)。
- 蓄便は下腹神経(T11からL2、交感)、外肛門括約筋は陰部神経(体性)。
- 習慣性便秘の指導=便意を我慢しない、食物繊維と水分、運動、腹部マッサージ。