25PM140|第25回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「58歳の女性。主訴は右手掌の痛み・しびれ。痛みの部位は小指を除く手掌部である。」本症例の病態部位への刺鍼で適切なのはどれか。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
手根管の位置を解剖学的に特定し、刺鍼部位を選ぶ問題です。
解説
手根管は、手根骨が形づくる溝(手根溝)を**屈筋支帯(横手根靱帯)**が屋根のように覆ってできるトンネルです。その中を、正中神経と、浅指屈筋腱、深指屈筋腱、長母指屈筋腱の合計9本の腱が通ります。
屈筋支帯は、橈側では舟状骨結節と大菱形骨に、尺側では豆状骨と有鈎骨鈎に付着します。したがって、舟状骨結節と豆状骨を結んだ線が屈筋支帯の近位縁にあたり、その中央部の深部を正中神経が通過します。
すなわち、手根管症候群の病態部位に対する刺鍼部位としては、「舟状骨結節と豆状骨を結んだ線の中央部」が最も適切であり、これが正答です。この部位はおおむね大陵(心包経の原穴、手関節掌側横紋上、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間)に相当し、あわせて内関、労宮、魚際なども用いられます。刺鍼にあたっては、正中神経を直接刺激して強い放散痛を起こさないよう、刺入の深さと方向に十分注意します。
手関節掌側横紋上で橈側手根屈筋腱の橈側直上部は、太淵(肺経の原穴、脈会)に近い部位で、橈骨動脈の拍動部にあたります。動脈が近いため、手根管の病態部位ではありません。
手関節掌側横紋上で長掌筋腱の尺側直上部は、長掌筋腱のすぐ尺側にあたります。正中神経は長掌筋腱の深部からやや橈側を通るため、ここは病態部位の中心からずれます。
手関節掌側横紋上で尺側手根屈筋腱の尺側直上部は、神門の尺側にあたり、尺骨神経とギヨン管(尺骨神経管)が関わる部位です。手根管ではありません。ここで尺骨神経が絞扼されるものがギヨン管症候群であり、手根管症候群とは病態部位も症状の分布も異なります。
選択肢の確認
1.手関節掌側横紋上で橈側手根屈筋腱の橈側直上部
誤り。橈骨動脈の拍動部(太淵の付近)にあたります。
2.手関節掌側横紋上で長掌筋腱の尺側直上部
誤り。正中神経の通過部位の中心からずれます。
3.手関節掌側横紋上で尺側手根屈筋腱の尺側直上部
誤り。ギヨン管であり、尺骨神経が関わる部位です。
4.舟状骨結節と豆状骨を結んだ線の中央部
正しい。屈筋支帯の下を正中神経が通る手根管の部位です。
覚えるポイント
- 手根管=手根溝+屈筋支帯。正中神経と9本の屈筋腱が通る。
- 屈筋支帯の付着=橈側は舟状骨結節と大菱形骨、尺側は豆状骨と有鈎骨鈎。
- 刺鍼部位=舟状骨結節と豆状骨を結ぶ線の中央(おおむね大陵)。放散痛に注意する。
- ギヨン管(尺骨神経管)=豆状骨と有鈎骨鈎の間。尺骨神経が通る。手根管と区別する。