25PM159|第25回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
透熱灸の施灸局所に起こる反応で正しいのはどれか。
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正解: 1 または 4
正答
1、4
この問題のポイント
透熱灸の施灸局所に起こる反応の機序を問う問題です。正答は二つあります。
解説
施灸によって組織が熱刺激を受けると、局所では次のような反応が生じます。
痛覚過敏は、損傷した組織や、集まってきた血小板、肥満細胞などから放出される化学物質によって、侵害受容器の感受性が高まることで生じます。関与する物質としては、ブラジキニン(発痛)、プロスタグランジン、セロトニン、ヒスタミン、カリウムイオン、水素イオンが挙げられます。セロトニンは血小板から放出され、痛覚を過敏にする作用をもつため、「痛覚過敏はセロトニンにより起こる」は正答に含まれます(選択肢1)。
局所膨隆(ウィール、膨疹)は、血管の透過性が亢進して血漿成分が血管外へ漏れ出すことによって生じます。放出されたヒスタミンやCGRP、サブスタンスPが血管内皮の間隙を広げるために起こる現象です。したがって「局所膨隆は血漿漏出により起こる」も正答に含まれます(選択肢4)。
以上の二つが正答となります。
痒みはノルアドレナリンの作用によるという記述は誤りです。痒みを引き起こす代表的な物質は、肥満細胞から放出されるヒスタミンです。ノルアドレナリンは交感神経の節後線維から放出される伝達物質で、血管の収縮などに関わるものであり、痒みの原因物質ではありません。
フレアは脊髄反射により起こるという記述も誤りです。フレア(発赤の広がり)は、軸索反射によって起こります。すなわち、C線維の興奮が同じ線維の別の末梢の枝へ逆行性に伝わり、その終末からCGRPなどが放出されて周囲の血管が拡張する現象です。中枢(脊髄)を経由しないという点が、軸索反射の最大の特徴です。
これらをまとめると、施灸局所の反応として知られる三重反応(ルイスの三重反応)、すなわち**局所の発赤(毛細血管の拡張)、フレア(軸索反射による発赤の広がり)、ウィール(血漿漏出による膨隆)**として整理できます。
選択肢の確認
1.痛覚過敏はセロトニンにより起こる。
正しい。血小板から放出され、侵害受容器の感受性を高めます。
2.痒みはノルアドレナリンの作用による。
誤り。痒みの代表的な原因物質はヒスタミンです。
3.フレアは脊髄反射により起こる。
誤り。中枢を経由しない軸索反射によります。
4.局所膨隆は血漿漏出により起こる。
正しい。血管透過性の亢進により血漿成分が漏れ出します。
覚えるポイント
- 三重反応=局所発赤(毛細血管の拡張)、フレア(軸索反射による発赤の広がり)、ウィール(血漿漏出による膨隆)。
- 痛覚過敏=ブラジキニン、プロスタグランジン、セロトニン、ヒスタミンなどによる感受性の亢進。
- 痒み=ヒスタミン(肥満細胞から放出)。
- 軸索反射は中枢を経由しない。この点が脊髄反射との決定的な違い。