26AM41|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
奇異塞栓がみられるのはどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
奇異性塞栓が生じる条件を問う問題です。
解説
奇異性塞栓は、静脈系(右心系)にできた血栓が、心臓内の短絡(シャント)を通って動脈系(左心系)へ移り、脳や全身の動脈を塞栓する現象です。
通常であれば、下肢の深部静脈などにできた血栓は、右心房から右心室を経て肺動脈に達し、肺塞栓を起こします。すなわち、肺が「フィルター」として働くため、動脈系へは移りません。
ところが、心房中隔欠損症や卵円孔開存があると、右心房と左心房が直接つながっているため、血栓がこの穴を通って左心系へ移り、そこから脳梗塞などの動脈の塞栓を起こします。この経路が通常と「逆」であることから「奇異(paradoxical)」と呼ばれます。したがって心房中隔欠損症が正答です。
奇異性塞栓が起こりやすくなる条件として、右心系の圧が一時的に上昇する状況(咳、いきみ、排便時のいきみ、重い物を持ち上げる動作)が挙げられます。この際、通常は左から右への短絡が、一時的に右から左へ逆転するためです。原因不明の若年者の脳梗塞では、卵円孔開存の有無を調べることがあります。
心室性期外収縮は、心室から出る異所性の興奮による不整脈です。健常者にもよくみられ、多くは無害です。血栓の通り道をつくるものではありません。
大動脈弁狭窄症は、大動脈弁が狭くなり左心室から血液を送り出しにくくなる疾患です。失神、狭心痛、心不全を三徴とします。左心系の疾患であり、右から左への短絡を生じるものではありません。
感染性心内膜炎は、心臓の弁に細菌が付着して疣贅(いぼ状の塊)を形成する疾患です。この疣贅が飛んで塞栓を起こしますが、これは左心系から動脈系へという通常の経路(あるいは右心系から肺へ)であり、奇異性塞栓ではありません。なお、感染性心内膜炎は歯科処置や口腔内の感染が誘因となることがあり、弁膜症や人工弁の患者では予防が重要です。
選択肢の確認
1.心室性期外収縮
誤り。心室由来の不整脈であり、短絡をつくりません。
2.心房中隔欠損症
正しい。右心房と左心房が交通し、血栓が動脈系へ移ります。
3.大動脈弁狭窄症
誤り。左心系の疾患であり、短絡は生じません。
4.感染性心内膜炎
誤り。疣贅による塞栓は通常の経路をたどります。
覚えるポイント
- 奇異性塞栓=静脈系の血栓が**心内の短絡(心房中隔欠損、卵円孔開存)**を通って動脈系へ。
- 誘因=咳、いきみなど右心系の圧が上がる状況。若年者の原因不明の脳梗塞で疑う。
- 通常は深部静脈血栓→肺塞栓。肺がフィルターとして働く。
- 深部静脈血栓症の危険因子=長時間の同一姿勢、脱水、手術後、悪性腫瘍、妊娠(エコノミークラス症候群)。