26AM54|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
浮腫をきたすのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4
この問題のポイント
浮腫をきたす病態を問う問題です。
解説
浮腫は、間質(組織間隙)に水分が異常に貯留した状態です。その機序は次の四つに整理されます。
毛細血管内圧の上昇=静脈のうっ滞による。心不全、静脈血栓症、下肢静脈瘤。
血漿膠質浸透圧の低下=血漿蛋白質(アルブミン)の減少による。ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養、蛋白漏出性胃腸症。
血管透過性の亢進=炎症、アレルギー、熱傷。
リンパ還流の障害=リンパ節郭清後、フィラリア症(リンパ浮腫)。
うっ血性心不全では、心臓のポンプ機能の低下によって静脈系に血液がうっ滞し、毛細血管内圧が上昇します。あわせて、腎血流の低下によりレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が活性化されてナトリウムと水が貯留するため、浮腫が生じます。したがってこれが正答です。右心不全では下腿の浮腫が顕著で、あわせて頸静脈怒張、肝腫大、腹水がみられます。左心不全では肺うっ血が中心となります。
副甲状腺機能低下症では、パラソルモンの不足により低カルシウム血症が生じ、テタニー(手足の筋の硬直、トルソー徴候、クボステック徴候)、けいれん、しびれ、白内障をきたします。浮腫を主症状とするものではありません(なお、甲状腺機能低下症では、押しても跡が残らない粘液水腫が生じます。名称が似ているため区別が必要です)。
高コレステロール血症は、脂質異常症の一つで、基本的に無症状です。動脈硬化を進めて虚血性心疾患と脳血管障害の危険を高めますが、浮腫をきたすものではありません。
非アルコール性脂肪肝は、飲酒によらない脂肪肝で、肥満、糖尿病、脂質異常症を背景とします。多くは無症状で、この段階では浮腫をきたしません。ただし、一部は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を経て肝硬変へ進行し、その段階に至れば低アルブミン血症と門脈圧亢進によって腹水と浮腫が生じます。
選択肢の確認
1.副甲状腺機能低下症
誤り。低カルシウム血症によるテタニーが主症状です。
2.高コレステロール血症
誤り。基本的に無症状です。
3.非アルコール性脂肪肝
誤り。この段階では浮腫をきたしません。
4.うっ血性心不全
正しい。静脈のうっ滞と体液の貯留により浮腫が生じます。
覚えるポイント
- 浮腫の機序=毛細血管内圧の上昇、膠質浸透圧の低下、血管透過性の亢進、リンパ還流の障害。
- 心不全(右心)=下腿の浮腫、頸静脈怒張、肝腫大、腹水。
- ネフローゼ症候群と肝硬変=低アルブミン血症による浮腫。
- 甲状腺機能低下症=粘液水腫(押しても跡が残らない)。副甲状腺機能低下症=テタニー。