26AM78|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「40歳の女性。数年前より手指のこわばりを自覚していた。最近、症状の増悪と手指の関節痛、腫脹が認められ来院した。冷たいものに触ると手指が白くなることがある。検査では抗トポイソメラーゼI抗体(抗SCL-70)が陽性であった。」本疾患の合併症として最も多いのはどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
全身性硬化症の合併症のうち、最も頻度が高いものを問う問題です。
解説
全身性硬化症では、皮膚だけでなく内臓にも線維化が生じます。その中で最も高頻度に侵されるのが消化管、特に食道です。
食道の平滑筋が線維化に置き換わると、蠕動運動が低下し、あわせて下部食道括約筋の機能が低下します。その結果、胃の内容物が食道へ逆流しやすくなり、逆流性食道炎が生じます。症状は、胸やけ、呑酸、つかえ感、嚥下困難、胸骨後部の痛みです。したがってこれが正答です。対応としては、食後すぐに横にならない、上半身を高くして寝る、脂肪と刺激物の摂取を控える、禁煙、そしてプロトンポンプ阻害薬による治療が行われます。長期に続くとバレット食道を生じ、食道腺癌の危険が高まります。
全身性硬化症の他の内臓病変も押さえておきます。間質性肺炎(肺線維症)と肺高血圧症は、生命予後を左右する最も重要な合併症です。労作時の息切れと乾いた咳、捻髪音、ばち指がみられます。また、強皮症腎クリーゼは、急激な血圧上昇と腎不全をきたす緊急の病態です。心臓では、線維化による不整脈と心不全が生じます。
ぶどう膜炎は、ベーチェット病、サルコイドーシス、原田病、強直性脊椎炎でみられる眼の炎症です。全身性硬化症の代表的な合併症ではありません。
ネフローゼ症候群は、糸球体の障害によって大量の蛋白尿をきたす病態で、SLE(ループス腎炎)や糖尿病性腎症、原発性の糸球体腎炎でみられます。全身性硬化症で問題となる腎病変は、上に述べた強皮症腎クリーゼであり、機序が異なります。
シェーグレン症候群は、涙腺と唾液腺が自己免疫によって障害され、**乾燥症状(ドライアイ、口腔乾燥)**をきたす疾患です。関節リウマチをはじめとする膠原病に合併することがあり、全身性硬化症にも合併しうるものの、最も多い合併症とはいえません。
選択肢の確認
1.ブドウ膜炎
誤り。ベーチェット病やサルコイドーシスでみられます。
2.ネフローゼ症候群
誤り。全身性硬化症の腎病変は強皮症腎クリーゼです。
3.逆流性食道炎
正しい。食道の線維化による蠕動低下と括約筋の機能低下で生じます。
4.シェーグレン症候群
誤り。合併しうるものの、最も多いものではありません。
覚えるポイント
- 全身性硬化症=食道の線維化→蠕動低下と下部食道括約筋の機能低下→逆流性食道炎が最多。
- 予後を左右する=間質性肺炎と肺高血圧症。緊急の病態は強皮症腎クリーゼ。
- 皮膚所見=レイノー現象、手指の硬化と腫脹、仮面様顔貌、指尖部の潰瘍、石灰沈着。
- 逆流性食道炎への指導=食後すぐ横にならない、上半身を高くして寝る、脂肪と刺激物を控える。