26AM79|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「62歳の男性。右側の腰から下肢にかけての痛み、しびれがある。歩くと痛みは強くなり歩けなくなるが、休むと再び歩けるようになる。足関節・上腕血圧比は1.0であった。」本症例の徒手検査所見で陽性を示すのはどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
間欠跛行の原因を鑑別し、陽性となる徒手検査を選ぶ問題です。
62歳男性、右の腰から下肢の痛みとしびれ、歩くと痛み、休むと再び歩ける(間欠跛行)、足関節・上腕血圧比(ABI)は1.0という所見を統合します。
解説
まず、間欠跛行の原因を鑑別します。間欠跛行には二つの原因があります。
神経性間欠跛行(腰部脊柱管狭窄症)=馬尾または神経根の圧迫による。前かがみになると軽減する。自転車には長く乗れる。しびれを伴う。足背動脈の拍動は良好。
血管性間欠跛行(閉塞性動脈硬化症)=下肢の動脈の狭窄による。姿勢に関係なく、立ち止まるだけで軽減する。冷感と皮膚の色調の変化、脱毛を伴う。足背動脈の拍動が減弱または消失。
足関節・上腕血圧比(ABI)は、足関節の血圧を上腕の血圧で割った値で、正常は0.9から1.3、0.9未満で下肢動脈の狭窄が疑われます。この症例ではABIが1.0と正常であるため、血管性を除外でき、腰部脊柱管狭窄症による神経性間欠跛行と判断されます。
ケンプ徴候(ケンプテスト)は、立位または坐位で、腰椎を後屈させながら患側へ側屈・回旋させ、下肢への放散痛が誘発されるかをみる検査です。後屈によって椎間孔と脊柱管が狭くなるため、脊柱管狭窄症と椎間孔での神経根の圧迫で陽性となります。したがってこれが正答です。
SLRテストは、背臥位で膝を伸ばしたまま下肢を挙上し、70度以下で坐骨神経に沿った放散痛が生じれば陽性となる検査で、主にL4・L5からL5・S1の椎間板ヘルニアを示します。脊柱管狭窄症では陰性のことが多くなります。
大腿神経伸展テストは、腹臥位で膝を屈曲させ、股関節を伸展させて大腿前面に痛みが生じるかをみる検査で、上位腰椎(L2からL4)の椎間板ヘルニアによる大腿神経の障害を示します。
K・ボンネットテストは、股関節を屈曲・内転・内旋させて坐骨神経症状が誘発されるかをみる検査で、梨状筋症候群を示します。
選択肢の確認
1.SLRテスト
誤り。主に下位腰椎の椎間板ヘルニアで陽性となります。
2.ケンプ徴候
正しい。後屈と側屈で椎間孔が狭くなり症状が誘発されます。
3.大腿神経伸展テスト
誤り。上位腰椎の椎間板ヘルニアで陽性となります。
4.K・ボンネットテスト
誤り。梨状筋症候群で陽性となります。
覚えるポイント
- 神経性間欠跛行(脊柱管狭窄症)=前かがみで軽減、自転車は乗れる、ABIは正常。
- 血管性間欠跛行(閉塞性動脈硬化症)=姿勢に無関係、冷感と脱毛、足背動脈の拍動減弱、ABI 0.9未満。
- ケンプ徴候=腰椎の後屈と側屈で放散痛。脊柱管狭窄症と神経根の圧迫。
- 馬尾症候群(両下肢のしびれ、サドル型知覚障害、膀胱直腸障害)=緊急手術の適応。