26AM9|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
精神保健について正しいのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2
この問題のポイント
精神疾患と症状の対応を問う問題です。
解説
認知症では夜間せん妄を生じやすいが正しく、正答です。
せん妄は、身体的な要因を背景として急激に生じる意識の混濁を伴う状態で、注意の障害、幻覚(特に幻視)、興奮、見当識障害、日内変動(夜間に悪化)を特徴とします。認知症の患者は、脳の予備能力が低下しているため、環境の変化、感染、脱水、薬剤、便秘、痛み、入院といったきっかけでせん妄を起こしやすくなります。特に夜間に悪化するものを夜間せん妄といいます。
対応としては、まず原因(感染、脱水、薬剤、痛み、便秘)を探して取り除くこと、そして環境の調整(昼夜のリズムを整える、明るさの調節、なじみのある物を置く、時計とカレンダーを見えるようにする、複数の人が入れ替わり接することを避ける)が基本となります。せん妄は可逆的であり、認知症そのものとは区別されます。
統合失調症は脳の器質的疾患であるという記述は誤りです。統合失調症は、明らかな器質的病変を伴わない機能的な精神疾患とされます(神経伝達物質、特にドパミン系の関与が推定されています)。10歳代後半から30歳代に発症し、陽性症状(幻覚、特に幻聴、妄想、思考の障害)と陰性症状(感情の平板化、意欲の低下、社会的引きこもり)を呈します。
うつ病では見当識障害を生じやすいという記述も誤りです。うつ病は気分(感情)の障害であり、抑うつ気分、興味と喜びの喪失、意欲の低下、不眠(特に早朝覚醒)、食欲の低下、日内変動(朝に悪い)、罪責感、希死念慮を特徴とします。見当識(時、場所、人の認識)は保たれるのが原則です。ただし、高齢者のうつ病では思考と行動が緩慢になり、認知症と紛らわしい状態(仮性認知症)を呈することがあり、鑑別が重要です。
適応障害の主症状は幻覚であるという記述も誤りです。適応障害は、明確な心理社会的ストレス因に反応して、抑うつ、不安、行動の障害が生じるものです。幻覚は主症状ではありません。
選択肢の確認
1.統合失調症は脳の器質的疾患である。
誤り。明らかな器質的病変を伴わない機能的な精神疾患です。
2.認知症では夜間せん妄を生じやすい。
正しい。脳の予備能力が低下しているため、きっかけで容易に生じます。
3.うつ病では見当識障害を生じやすい。
誤り。見当識は保たれます。仮性認知症との鑑別が重要です。
4.適応障害の主症状は幻覚である。
誤り。ストレス因に反応した抑うつと不安が中心です。
覚えるポイント
- せん妄=急激な意識の混濁、幻視、興奮、夜間に悪化、可逆的。認知症の患者に生じやすい。
- 対応=原因(感染、脱水、薬剤、痛み、便秘)の除去と環境の調整。
- 統合失調症=機能的疾患。陽性症状(幻聴、妄想)と陰性症状(感情の平板化、意欲低下)。
- うつ病=気分の障害。見当識は保たれる。高齢者では仮性認知症に注意。