26PM116|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の病証に対する治療穴で最も適切なのはどれか。「65歳の男性。1週間前に食べ過ぎて胃のもたれ感の後、右上の奥の歯茎が腫れて痛むようになってきた。腹診では上腹部に緊張と熱感がみられ、右関上の脈は滑数。舌質はやや紅、中央に黄厚膩苔。」
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
上の歯茎の痛みを経脈で考え、胃熱に対する滎穴を選ぶ症例問題です。3つの知識を順に重ねます。
解説
65歳の男性で、食べ過ぎによる胃のもたれの後に、右上の奥の歯茎が腫れて痛むようになり、腹診で上腹部に緊張と熱感、右関上の脈が滑数、舌質はやや紅、中央に黄厚膩苔という所見です。
第一に、病位を決めます。上の歯と歯茎には足の陽明胃経が入り、下の歯と歯茎には手の陽明大腸経が入ります。したがって上の歯茎の症状は胃経でとらえます。
第二に、病態を決めます。右関上は脾胃に配当され、滑脈は痰湿や食滞、数脈は熱を示します。舌の中央部は脾胃に対応し、黄厚膩苔は食滞と湿が熱に転じた状態を示します。上腹部の緊張と熱感もこれを裏づけます。すなわち、**食滞が化熱した胃熱(胃火)**が経脈を伝って上歯に及んだと考えられます。
第三に、選穴です。難経六十八難に「滎は身熱を主る」とあるとおり、滎穴は熱を清するのに優れます。また、陽経の滎穴は水に配当(滎水穴)され、陰経の滎穴は火に配当(滎火穴)されます。したがって、胃熱に対しては胃経の滎水穴を用いることになり、正答は2です。該当する経穴は内庭で、足背、第2指と第3指の間、みずかきの近位、赤白肉際にあります。歯痛、歯茎の腫れ、顔面の熱、口臭など胃熱の症状に広く用いられます。
他の選択肢を確認します。腎経の滎火穴は然谷、大腸経の滎水穴は二間(下歯に対応)、脾経の滎火穴は大都です。いずれも上歯に対応する胃経ではありません。
選択肢の確認
1.腎経の栄火穴
誤り。然谷であり、上歯に対応する経ではありません。
2.胃経の栄水穴
正しい。内庭であり、上歯に対応する胃経の滎穴で熱を清します。
3.大腸経の栄水穴
誤り。二間であり、大腸経は下歯に対応します。
4.脾経の栄火穴
誤り。大都であり、脾経は歯には入りません。
覚えるポイント
- 上歯は足の陽明胃経、下歯は手の陽明大腸経。
- 滎主身熱。陽経の滎穴は水穴、陰経の滎穴は火穴。胃経の滎水穴は内庭。
- 右関上は脾胃、舌中央部は脾胃。滑数脈と黄厚膩苔は食滞化熱を示す。