26PM121|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の病証に対する治療方針で最も適切なのはどれか。「35歳の女性。主訴は月経痛。1年前に第4子を出産してから月経後に疲労・倦怠感が強くなり、足腰がだるく、耳鳴りもある。経血は色が淡く、量は少なく稀薄。舌質は淡、脈は沈細。」
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
出産と加齢による虚証を見抜く症例問題です。経血の性状と腰・耳の症状が同じ結論を指しています。
解説
35歳の女性で、次の所見があります。
1年前に第4子を出産という経過が重要です。妊娠と出産は血を大きく消耗し、また多産は腎精を消耗します。
月経後に疲労・倦怠感が強くなるのは、月経により残り少ない血がさらに失われるためで、血虚を示します。実証であれば月経前や月経中に症状が強まり、月経後には軽快することが多く、この点も虚証を裏づけます。
足腰がだるく、耳鳴りがあるのは、腰は腎の府、腎は耳に開竅するという関係から、腎の虚を示します。
経血の色が淡く、量が少なく稀薄であることは、血の不足を端的に示す所見です。実証の瘀血であれば、経血は暗紫色で塊を含み、刺すような痛みを伴います。
舌質は淡、脈は沈細も、いずれも気血の不足と裏の虚を示します。
以上から病証は肝腎の虚(肝血虚と腎精不足)であり、治療方針は肝腎経を補益することです。正答は3です。肝は血を蔵し、腎は精を蔵すという関係にあり、精と血は互いに転化する(精血同源、肝腎同源)ため、両者はしばしば同時に虚します。取穴では、肝兪、腎兪、太渓、三陰交、血海、膈兪、関元、気海などを用い、灸を併用します。
他の選択肢を確認します。肝気を疏通し瘀血を去るのは実証に対する方針、下焦を温め痛みを緩和するのは寒凝血瘀に対する方針、陰液を養い熱を去るのは陰虚内熱に対する方針であり、いずれも本症例の所見とは合いません。
選択肢の確認
1.肝気を疏通し、瘀血を去る。
誤り。経血の塊や刺痛など実証の所見がありません。
2.下焦を温め、痛みを緩和する。
誤り。冷えによる激しい痛みという所見は示されていません。
3.肝腎経を補益する。
正しい。多産による血と腎精の消耗を示す所見がそろっています。
4.陰液を養い、熱を去る。
誤り。五心煩熱や盗汗など虚熱の所見がありません。
覚えるポイント
- 月経後に増悪=虚証、月経前や月経中に増悪=実証。
- 血虚の経血=色が淡く量が少なく稀薄。瘀血の経血=暗紫色で塊を含む。
- 腰は腎の府、腎は耳に開竅。**肝腎同源(精血同源)**で両者は同時に虚しやすい。