26PM123|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例に対して障害神経を考慮して循経取穴を行う場合、最も適切な治療穴はどれか。「46歳の女性。最近、指尖で物をつまむピンチ動作ができなくなったため来院。ティアドロップ徴候は陽性。知覚障害は認められなかった。」
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
前骨間神経麻痺を見抜き、その神経の走行に沿った経脈から取穴する問題です。
解説
46歳の女性で、指尖で物をつまむピンチ動作ができない、ティアドロップ徴候が陽性、知覚障害は認められないという所見です。
ティアドロップ徴候は、母指と示指で輪(パーフェクトO)をつくらせたとき、きれいな円にならず涙のしずくのような形になる所見です。これは、**長母指屈筋(母指の指節間関節を屈曲)と深指屈筋の示指の部(示指の遠位指節間関節を屈曲)**が働かないために生じます。
これら2つの筋を支配するのは、正中神経の枝である前骨間神経です。前骨間神経は運動枝のみであり、感覚枝をもちません。したがって、知覚障害を伴わないという所見と完全に一致し、前骨間神経麻痺と診断できます。前骨間神経は肘窩の少し遠位で正中神経から分岐し、円回内筋の二頭の間を通って前腕骨間膜の前面を下行します。
治療にあたって循経取穴を行う場合、障害神経である正中神経の走行に沿う経脈を選びます。正中神経は上腕内側から肘窩の中央付近を通り、前腕前面の正中を下行して手根管に入ります。この走行に最も一致するのは手の厥陰心包経です。心包経は、上腕内側の中央(天泉)から肘窩(曲沢)、前腕前面の正中(郄門、間使、内関、大陵)を通って手掌(労宮)に至ります。
選択肢の中で心包経に属するのは曲沢であり、正答は4です。曲沢は、肘前面、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱の内方の陥凹部にあり、前骨間神経が分岐する高さに近い部位です。刺鍼にあたっては、すぐ内側に上腕動脈が走行するため、拍動を確認して避ける配慮が必要です。
他の選択肢を確認します。肘髎は手の陽明大腸経(橈骨神経の領域)、小海は手の太陽小腸経(尺骨神経溝の部)、消濼は手の少陽三焦経であり、いずれも正中神経の走行に沿う経脈ではありません。
選択肢の確認
1.肘髎
誤り。大腸経の経穴で、橈骨神経の領域にあたります。
2.小海
誤り。小腸経の経穴で、尺骨神経溝の部にあたります。
3.消濼
誤り。三焦経の経穴です。
4.曲沢
正しい。心包経の合水穴で、正中神経の走行に沿います。
覚えるポイント
- ティアドロップ徴候=前骨間神経麻痺。長母指屈筋と深指屈筋(示指)の麻痺。運動枝のみで知覚障害なし。
- 正中神経は手の厥陰心包経、尺骨神経は手の少陰心経・太陽小腸経、橈骨神経は手の陽明大腸経の走行に近い。
- 曲沢の内側には上腕動脈。拍動を確認して刺鍼する。