26PM127|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例に対する鍼灸の効果を評価するのに最も適切なのはどれか。「62歳の女性。主訴は肩こり。半年ほど前から興味や喜びがわかなくなり、食欲が減退し、よく眠れず朝早く目が覚める。疲れやすく思考力が低下している。幻覚や記憶の障害はなく、動悸、めまいもない。」
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2
この問題のポイント
症例から病態を判断し、それに合う評価尺度を選ぶ問題です。何を測る尺度かを対応させます。
解説
62歳の女性で、主訴は肩こりですが、次の所見が並んでいます。興味や喜びがわかない(興味・喜びの喪失)、食欲減退、入眠困難ではなく朝早く目が覚める(早朝覚醒)、易疲労感、思考力の低下です。半年ほど前から持続しています。
これらはうつ病(大うつ病性障害)の典型的な症状です。うつ病の中核症状は、抑うつ気分と興味・喜びの喪失であり、これに食欲の変化、睡眠障害(特に早朝覚醒が特徴的)、精神運動の制止または焦燥、易疲労感、無価値感や罪責感、思考力・集中力の低下、希死念慮が加わります。また、うつ病では肩こり、頭重感、倦怠感、動悸、めまいなどの身体症状が前面に出ることがあり、身体的な訴えで施術所を訪れることも少なくありません。
設問では幻覚や記憶の障害はなく、動悸、めまいもないと、統合失調症や認知症、身体疾患の可能性が除外されるように記述されています。
したがって、鍼灸の効果を評価するにはうつ病の重症度を測る尺度が適しており、**ハミルトン評価尺度(ハミルトンうつ病評価尺度)**が正答となります。正答は2です。
他の選択肢を確認します。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは認知症のスクリーニングに用いる30点満点の検査で、20点以下で認知症が疑われます。タイムドアップアンドゴーテストは移動能力と転倒リスクを評価します。ロコモ度テストは、立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25からなり、**運動器の機能低下(ロコモティブシンドローム)**を評価します。
なお、希死念慮がうかがわれる場合や症状が重い場合は、精神科などの医療機関への受診を勧めることが前提となります。
選択肢の確認
1.改訂長谷川式簡易知能評価スケール
誤り。認知症のスクリーニングに用います。
2.ハミルトン評価尺度
正しい。うつ病の重症度を評価する尺度です。
3.タイムドアップアンドゴーテスト
誤り。移動能力と転倒リスクを評価します。
4.ロコモ度テスト
誤り。運動器の機能低下を評価します。
覚えるポイント
- うつ病=抑うつ気分と興味・喜びの喪失が中核。早朝覚醒、食欲減退、易疲労、思考力低下。
- ハミルトン評価尺度=うつ病、改訂長谷川式=認知症、TUG=移動能力、ロコモ度テスト=運動器。
- 身体症状が前面に出ることがあり、重症例や希死念慮があれば医療機関への受診を勧める。