26PM136|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「37歳の男性。主訴は不眠。仕事の期限に間に合わせるため長時間労働が続き、疲労感とともに肩こり、腹部膨満感、中途覚醒に悩まされている。よくため息をつく。舌診では舌辺が赤く、腹診では胸脇苦満が認められた。」本症例の病証で最も適切なのはどれか。
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
前問と同じ症例で、病証名そのものを問う問題です。実の気滞か、虚かを見分けます。
解説
37歳の男性で、長時間労働という精神的・肉体的な負荷を背景に、肩こり、腹部膨満感、中途覚醒、ため息があり、舌辺が赤く、胸脇苦満が認められます。
肝は疏泄を主る臓で、気機(気の巡り)を調節し、情志を調える働きをもちます。精神的な緊張やストレスが続くと、この疏泄機能が失調し、気が滞ります。これが肝気鬱結です。
肝気鬱結の主な症状は次のとおりです。胸脇部の張った痛み、腹部の膨満、抑うつやイライラ、ため息が多い、咽の異物感(梅核気)、女性では月経前の乳房の張りや月経不順です。舌は舌辺が赤くなることがあり、脈は弦を呈します。腹診では胸脇苦満が認められます。本症例の所見はこれらと一致し、正答は1です。
治療方針は疏肝理気であり、太衝、期門、肝兪、陽陵泉、膻中、内関、合谷などを用います。あわせて、休息の確保や生活の調整といった助言も重要になります。
他の選択肢を確認します。
心気虚では、動悸、息切れ、自汗、疲れやすさ、顔色の悪さ、脈が弱いといった虚の所見が中心となり、胸脇苦満や弦脈は説明できません。
脾気虚では、食欲不振、軟便、倦怠感、四肢の無力、面色萎黄がみられます。本症例の腹部膨満感は気滞によるもので、脾気虚による腹満とは背景が異なります。
腎陰虚では、腰膝のだるさ、耳鳴、五心煩熱、盗汗、舌紅少苔、脈細数がみられ、本症例の所見とは合いません。
選択肢の確認
1.肝気鬱結
正しい。情志の失調、胸脇苦満、ため息、舌辺の赤みが一致します。
2.心気虚
誤り。動悸や息切れなどの虚の所見が中心です。
3.脾気虚
誤り。食欲不振や軟便などの運化失調の所見がありません。
4.腎陰虚
誤り。腰膝のだるさや五心煩熱などの所見がありません。
覚えるポイント
- 肝は疏泄を主り、情志を調える。失調すれば肝気鬱結。
- 症状=胸脇の張り、腹満、抑うつやイライラ、ため息、梅核気、月経前の乳房の張り。
- 所見=胸脇苦満、舌辺が赤い、弦脈。方針は疏肝理気。