26PM81|第26回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
筋萎縮性側索硬化症患者における人工呼吸器装着後のリハビリテーションで適切なのはどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
筋萎縮性側索硬化症(ALS)で人工呼吸器を装着した段階という、病期を踏まえたリハビリテーションの目標を問う問題です。何を維持し、何を防ぐかで選びます。
解説
筋萎縮性側索硬化症は、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両方が進行性に変性する疾患です。四肢の筋力低下と筋萎縮、線維束攣縮、腱反射亢進、球麻痺症状(構音障害、嚥下障害)が進行し、やがて呼吸筋麻痺に至ります。一方で、**眼球運動、膀胱直腸機能、感覚、褥瘡になりにくいこと(いわゆる四大陰性徴候)**は末期まで保たれやすいことが知られます。
人工呼吸器を装着した段階では、四肢の随意運動はすでに高度に障害されており、歩行や起き上がり、更衣の自立を目標とすることは現実的ではありません。この時期の最大の課題は、呼吸器合併症の予防です。
咳嗽力が低下すると気道分泌物を自力で排出できず、無気肺や肺炎を起こして生命予後を左右します。そのため、排痰訓練が最も適切です。具体的には、体位ドレナージ、徒手による呼吸介助、咳介助(徒手的咳介助や機械による咳介助)、肺胞リクルートメント(舌咽呼吸やバッグによる深吸気)、加湿と吸引が行われます。あわせて、関節拘縮の予防のための他動的関節可動域訓練、コミュニケーション手段の確保も重要です。
なお、ALSでは過度な筋力強化訓練は筋の疲労を招くため避けるという原則もあわせて押さえておきます。
選択肢の確認
1.歩行訓練
誤り。呼吸器装着の段階では四肢の随意運動が高度に障害され、目標となりません。
2.更衣訓練
誤り。同様に、この時期の目標としては現実的ではありません。
3.排痰訓練
正しい。咳嗽力の低下による無気肺や肺炎を防ぐ最重要の課題です。
4.起き上がり訓練
誤り。体幹筋も障害されており、この時期の目標にはなりません。
覚えるポイント
- ALS=上位と下位の運動ニューロンがともに障害。進行性で呼吸筋麻痺に至る。
- 末期まで保たれやすいもの=眼球運動、膀胱直腸機能、感覚、褥瘡になりにくいこと。
- 呼吸器装着後は排痰と呼吸器合併症の予防が中心。過度の筋力強化訓練は避ける。