27PM117|第27回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の病証で最も適切なのはどれか。「80歳の男性。日頃から腰下肢にだるさがあり、顔や目が赤く、頭や肩に張ったような痛みもあった。昨日、トイレで倒れ、舌が強ばって話しづらくなり、左の上下肢が麻痺した。」
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
中風(脳血管障害)の東洋医学的な病証を判断する症例問題です。もともとの体質と急に起きた症状を時系列で分けて考えます。
解説
80歳の男性で、経過は2段階に分かれます。
第一段階は日頃の状態です。腰下肢のだるさは肝腎陰虚を示します。加齢により腎精と陰液が不足した状態です。さらに、顔や目が赤い、頭や肩に張ったような痛みは、陰が虚したために陽を抑えられず、肝陽が上に亢ぶった肝陽上亢の状態を示します。
第二段階が今回の発症です。**昨日トイレで倒れ、舌が強ばって話しづらくなり(舌強語塞)、左の上下肢が麻痺した(半身不随)**という、突然の意識障害と局所症状の出現です。
このように、肝腎陰虚を土台に肝陽上亢が進み、ついに陽気が風となって急激に上へ突き上げた状態が肝風内動です。「風」は突然発症し、動揺し、上部を侵す性質をもち、めまい、けいれん、振戦、卒倒、半身不随、言語障害として現れます。設問の急性期の病態を最もよく表しており、正答となります。
肝腎陰虚と肝陽上亢は、いずれもこの症例の背景として存在しますが、突然倒れて麻痺をきたした現在の状態を最もよく説明するのは肝風内動です。肝気鬱結は、情志の失調による気の停滞で、胸脇の張り、抑うつ、ため息、月経不順などが中心であり、この症例には当てはまりません。
なお、突然の意識障害や麻痺は緊急の医療機関受診が必要な状態であり、施術を優先させてはならない点も重要です。
選択肢の確認
1.肝腎陰虚
誤り。背景の体質としては存在しますが、急性の卒倒と麻痺を説明しません。
2.肝風内動
正しい。突然の卒倒、言語障害、半身不随を説明する病証です。
3.肝陽上亢
誤り。顔面紅潮や張った頭痛の背景ではありますが、急性期の病態には至りません。
4.肝気鬱結
誤り。気の停滞による症状が中心で、この症例と合いません。
覚えるポイント
- 流れは肝腎陰虚→肝陽上亢→肝風内動。
- 風の性質=突然発症、動揺、上部を侵す。めまい、けいれん、振戦、卒倒、半身不随。
- 突然の麻痺や意識障害は緊急受診が必要。