29AM84第29回 はり師・きゅう師国家試験 過去問

過去問題(未分類)第29回午前(科目未分類)

次の文で示す症例について、問いに答えよ。「70歳の男性。約20年前に2型糖尿病と診断され薬物治療を受けている。最近急に複視が出現した。正中視で右眼は外転位をとっている。対光反射は異常なく眼瞼下垂もない。」神経症状発現の病態生理として正しいのはどれか。

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正解: 2

正答

2

この問題のポイント

糖尿病による脳神経麻痺の機序を問う問題です。

70歳男性、20年の糖尿病、急に出現した複視、瞳孔は保たれるという所見から、原因を考えます。

解説

糖尿病では、長期の高血糖により細小血管障害が進みます。末梢神経を養う細い血管(神経栄養血管、vasa nervorum)が閉塞すると、その神経は虚血に陥り、機能が障害されます。これが糖尿病性の脳神経麻痺の主な機序です。

動眼神経麻痺は、この虚血によって急性に発症することが多く、神経の中心部を通る運動線維が選択的に障害され、表層を走る瞳孔の副交感線維は比較的保たれます。そのため、瞳孔が正常のまま眼球運動だけが障害される「瞳孔回避型」となります。この症例で対光反射が正常であることは、この機序を強く示唆します。

これに対し、動脈瘤などによる圧迫では、表層の副交感線維が先に障害されるため散瞳を伴い、急を要する病態となります。両者の区別は臨床的に重要です。

浮腫や炎症は、この症例の経過と所見を説明する主要な機序としては挙げられません。

選択肢の確認

1.浮腫
誤り。この症例の急性発症と瞳孔回避を説明する主要な機序ではありません。

2.虚血
正しい。細小血管障害により神経栄養血管が閉塞し、神経が虚血に陥ります。

3.炎症
誤り。感染や自己免疫による神経炎とは経過が異なります。

4.圧迫
誤り。動脈瘤などによる圧迫では通常、瞳孔異常(散瞳)を伴います。

覚えるポイント

  • 糖尿病性の脳神経麻痺=神経栄養血管の閉塞による虚血
  • 動眼神経麻痺で瞳孔が保たれるなら虚血性、散瞳を伴うなら圧迫性(動脈瘤)を疑う。
  • 糖尿病の慢性合併症=細小血管障害(網膜症、腎症、神経障害)と大血管障害。
  • 突然の複視や瞳孔異常は緊急性がありうるため、医療機関の受診を勧める。
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