35Q112|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題111、問題112について答えなさい。 〔事 例〕 Mさん(35歳、男性、障害支援区分5)は、脳性麻痺{のうせいまひ}(cerebral palsy)による四肢麻痺{ししまひ}で筋緊張がある。日常生活動作は全般に介護が必要であり、電動車いすを使用している。これまで、本人と母親(70歳)の希望で、自宅で二人暮らしを続けてきた。 Mさんは3年前から、重度訪問介護を利用している。軽度の知的障害があるが、自分の意思を介護者と母親に伝えることができる。相談支援専門員が作成したサービス等利用計画の総合目標は、「やりたいことに挑戦し、生活を充実させる」となっている。Mさん自身も、やりたいことを見つけたいと介護福祉職に話していたことから、次の個別支援会議で検討する予定になっていた。 ある日、重度訪問介護の利用時、パラリンピックのテレビ中継を見ていたMさんが、介護福祉職に、「ボール投げるの、おもしろそう」と話した。 いくつかのスポーツクラブを見学後、介護福祉職はMさんから、「このスポーツクラブが近いから、入会前に体験したい」と伝えられた。 Mさんへの介護福祉職の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.意思決定に必要な情報を提供する。
この問題のポイント
意思決定支援とは、支援者が本人に代わって結論を決めることではありません。本人が選択肢を理解し、自分の意思で選べるように、必要な情報を分かりやすく提供することです。
Mさんは複数のスポーツクラブを見学し、「入会前に体験したい」と自分の希望を具体的に伝えています。この意思を尊重し、体験や入会を検討するための情報を整えます。
解説
障害のある人への支援は、自己決定の尊重が原則です。知的障害があることだけを理由に、家族や支援者が本人に代わって選択するのではなく、可能な限り本人が自ら意思決定できるように支援します。
介護福祉職は、体験の日時や内容、参加費、移動方法、施設のバリアフリー状況、利用できる用具や介助、入会後の活動内容など、判断に必要な情報をMさんに理解しやすい形で提供します。選択肢の利点や留意点を偏りなく伝え、理解できたかを確認したうえで、本人の選択の実現を支えます。
母親や相談支援専門員は支援に協力する関係者ですが、本人に代わってクラブを決めたり、本人の選択を許可したりする立場ではありません。
ひっかけポイント
意思決定支援は、支援者が「よい選択」を教えることではありません。情報を提供したうえで、本人が考え、試し、選ぶ過程を支えることです。「入会前に体験したい」という希望を飛ばして入会を急がせません。
介護実践でのポイント
情報は、短い言葉、写真、パンフレット、実際の見学など、本人が理解しやすい方法で示します。本人が大切にしている条件を確認し、必要に応じて家族や関係者と連携します。連携は本人の決定を置き換えるためではなく、本人が選んだ活動を実現するために行います。
選択肢の確認
1.筋緊張から回復する訓練を行うように伝える。
誤りです。 回復訓練を参加の前提にせず、本人の希望を確認し、用具や姿勢、介助などを工夫して参加できる方法を検討します。
2.母親が決めたスポーツクラブを選ぶように勧める。
誤りです。 母親は大切な関係者ですが、クラブを選ぶ主体はMさんです。本人が情報を理解して自ら選べるように支援します。
3.スポーツクラブにすぐに入会するように勧める。
誤りです。 Mさんは「入会前に体験したい」と伝えています。体験してから判断したいという本人の意思を尊重します。
4.意思決定に必要な情報を提供する。
正しいです。 Mさんが体験や入会について自分で判断できるように、活動内容、費用、移動、設備、介助体制などの情報を分かりやすく提供します。
5.相談支援専門員の許可を得るように勧める。
誤りです。 相談支援専門員は計画作成や調整を行いますが、Mさんの余暇活動を許可する立場ではありません。
覚えるポイント
- 意思決定支援では、本人が理解しやすい方法で必要な情報を提供する。
- 家族や支援者は本人の決定を代行せず、考え、選び、実現する過程を支える。
- 本人が体験を希望しているときは、その機会を整えてから意思を確認する。