35Q116|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで,問題 114 から問題 116 までについて答えなさい。 〔事 例〕Aさん(80 歳,女性)は,自宅で一人暮らしをしている。同じ県内に住む娘が,月に一度Aさんの自宅を訪れている。 最近,Aさんの物忘れが多くなってきたため,不安になった娘が,Aさんと一緒に病院を受診したところ,医師から,脳の記憶をつかさどる部分が顕著に萎縮したアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)であると診断された。Aさんはこのまま自宅で暮らすことを希望し,介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら一人暮らしを継続することになった。 ある日,娘からサービス提供責任者に,今年はAさんが一人で雪かきができるか不安であると相談があった。そこで,サービス提供責任者が,Aさんと一緒に地区の民生委員に相談したところ,近所の人たちが雪かきをしてくれることになった。 ある日,訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんの自宅を訪れ,一包化された薬の服薬状況を確認したところ,残薬があった。Aさんに服薬状況を確認すると,薬を飲んだかどうか,わからなくなることがあるという返答があった。訪問介護員(ホームヘルパー)は,Aさんとの会話から,日時に関する見当識に問題はないことを確認した。Aさんの薬の飲み忘れを防止するための対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 3
正答
3.お薬カレンダーの使用を提案する。
この問題のポイント
Aさんは、薬が一包化されていても残薬があり、「飲んだかどうか分からなくなる」状態です。一方、日時に関する見当識は保たれています。そこで、残っている力を生かし、服用する日や時間帯と薬を視覚的に対応させられる方法を選びます。
解説
お薬カレンダーは、日付や曜日、朝・昼・夕・寝る前などの区分ごとに薬を整理し、服用前後の状態を目で確認できるようにする道具です。Aさんは日時の見当識に問題がないため、日付や時間帯を手がかりにして、一包化された薬を自分で確認する方法が適しています。
一包化は、1回に服用する複数の薬を一袋にまとめ、薬の取り違えや準備の負担を減らす工夫です。ただし、一包化だけでは「その回の薬をすでに飲んだか」を確認しにくいことがあります。一包化を続けながら、お薬カレンダーを組み合わせることが有効です。
提案後も、Aさんが実際にカレンダーを理解して使えるか、残薬や重複服用がないかを確認します。必要に応じて本人の同意を得て、家族、介護支援専門員、医師、薬剤師、訪問看護師などと情報を共有します。
ひっかけポイント
一包化とお薬カレンダーは、どちらか一方を選ぶものではありません。一包化は「1回分をまとめる工夫」、お薬カレンダーは「いつ飲む薬か、飲んだかどうかを見えるようにする工夫」です。また、飲み忘れた薬を2回分まとめて服用してはいけません。
介護実践でのポイント
服薬支援では、本人のできることを奪わず、安全に自己管理できる方法を一緒に考えます。道具を導入して終わりにせず、残薬、飲み間違い、体調変化、使用状況を観察します。飲み忘れ時の対応は薬ごとに異なるため、処方時の指示を確認し、医師や薬剤師へ相談します。
選択肢の確認
1.一包化を中止する。
誤りです。 一包化は1回分の薬をまとめて服用準備を簡単にする方法です。中止すると、薬の選別が複雑になり、取り違えの危険を高める可能性があります。
2.インフォーマルな社会資源の活用は避ける。
誤りです。 家族や近隣住民などの支えは、本人の希望と同意、安全性、役割分担を確認したうえで活用できます。一律に避ける理由はありません。
3.お薬カレンダーの使用を提案する。
正しいです。 日時の見当識が保たれているAさんの力を生かし、服用する日・時間帯と薬を視覚的に対応させ、服用済みか確認しやすくする方法です。
4.一人では薬を服用しないように伝える。
誤りです。 常時の服薬介助が必要だと判断できる情報はありません。一律に一人での服用を禁止することは、残存能力や自己決定を生かさない過度な制限です。
5.薬の飲み忘れに気がついたとき, 2 回分を服用するように伝える。
誤りです。 2回分をまとめて服用すると、過量服用となり副作用などの危険が高まることがあります。介護福祉職が一律に指示せず、医師や薬剤師の指示を確認します。
覚えるポイント
- 一包化は「1回分をまとめる」方法である。
- お薬カレンダーは「服用時点と服用状況を見える化する」方法である。
- 日時の見当識が保たれている人には、日付や時間帯を手がかりにした支援を検討する。
- 飲み忘れた薬を自己判断で2回分まとめて服用しない。