35Q12|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
我が国の「障害者権利条約」の批准(2014年(平成26年))に向けて行われた、障害者基本法の改正(2011年(平成23年))で新たに法律上に規定されたものとして、適切なものを1つ選びなさい。 (注)「障害者権利条約」とは、国際連合の「障害者の権利に関する条約」のことである。
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正解: 4
正答
4.社会的障壁の除去
この問題のポイント
2011年(平成23年)の障害者基本法改正では、障害のある人の生活上の困難を本人の心身機能だけの問題として捉えず、社会にある事物、制度、慣行、観念などとの関係で捉える考え方が明確になりました。
この改正で「社会的障壁」が法律上に定義され、その除去と、必要かつ合理的な配慮に関する考え方が規定されました。
解説
社会的障壁とは、障害のある人が日常生活や社会生活を営むうえで障壁となる、社会の事物、制度、慣行、観念などをいいます。例えば、段差しかない入口、音声だけの案内、利用を一律に制限する規則、障害への偏見などが該当します。
2011年の障害者基本法改正は、障害者権利条約の批准に向けた国内法整備の一つとして行われました。改正法では、社会的障壁の定義を設け、社会的障壁の除去を必要とする障害者が存在し、その実施に伴う負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮を行うという考え方が規定されました。
これは、本人の機能を変えることだけに支援の重点を置くのではなく、環境や制度を調整することで、活動や社会参加を可能にする考え方です。
ひっかけポイント
自立支援医療、グループホーム、成年後見制度はいずれも重要な制度ですが、2011年の障害者基本法改正で初めて規定されたものではありません。「障害者権利条約」「2011年改正」という語から、社会モデルと社会的障壁の除去を結びつけます。
介護実践でのポイント
利用者が活動できないときに、本人の障害だけを原因と考えないことが重要です。建物の段差、情報の示し方、時間や手順の固定、周囲の態度などに障壁がないかを本人と一緒に確認し、過重な負担にならない範囲で具体的な調整方法を検討します。
選択肢の確認
1.自立支援医療(精神通院医療)の開始
誤りです。
自立支援医療は、障害者自立支援法の施行に伴って2006年(平成18年)に始まった制度であり、2011年の障害者基本法改正で新たに規定されたものではありません。
2.共同生活援助(グループホーム)の制度化
誤りです。
共同生活援助は、2011年より前から障害福祉制度に位置づけられていました。地域で共同生活を営む人に相談や日常生活上の援助を提供するサービスですが、本問の法改正で新設されたものではありません。
3.成年後見制度の創設
誤りです。
現在の成年後見制度につながる成年後見関連法は1999年(平成11年)に成立し、2000年(平成12年)に施行されました。2011年の障害者基本法改正より前の制度です。
4.社会的障壁の除去
正しいです。
2011年の障害者基本法改正で「社会的障壁」が法律上に定義され、その除去と必要かつ合理的な配慮に関する考え方が規定されました。
5.東京2020パラリンピック競技大会の開催
誤りです。
東京大会の開催は障害者スポーツや共生社会への関心を高める契機になりましたが、2011年の障害者基本法改正で新たに法律上規定された事項ではありません。
覚えるポイント
- 2011年の障害者基本法改正は、障害者権利条約の批准に向けた国内法整備の一つである。
- 社会的障壁には、事物、制度、慣行、観念などが含まれる。
- 障害による生活上の困難は、本人と環境との相互作用で生じる。
- 社会的障壁の除去は、環境や制度を調整して参加を保障する考え方である。
- 合理的配慮は、本人の意向を確認し、個別の状況に応じて検討する。
- 自立支援医療、共同生活援助、成年後見制度は、いずれも2011年より前に存在した。
- 介護実践でも、本人の機能だけでなく、生活を妨げている環境側の要因を確認する。