35Q124|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで,問題 123 から問題 125 までについて答えなさい。 〔事 例〕Eさん(35 歳,男性)は,自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)があり,V障害者支援施設の生活介護と施設入所支援を利用している。Eさんは,毎日のスケジュールを決め,規則や時間を守ってプログラムに参加しているが,周りの人や物事に関心が向かず,予定外の行動や集団行動はとりづらい。コミュニケーションは,話すよりも絵や文字を示したほうが伝わりやすい。Eさんが利用するV障害者支援施設では,就労継続支援事業も行っている。災害が起こったときに様々な配慮が必要な利用者がいるため,施設として防災対策に力を入れている。また,通所している利用者も多いので,V障害者支援施設は市の福祉避難所として指定を受けている。 V障害者支援施設では定期的に災害に備えた避難訓練を行っている。Eさんの特性を考慮して実施する避難訓練に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 1
正答
1.災害時に使用する意思伝達のイラストを用意する。
この問題のポイント
Eさんには、話し言葉よりも絵や文字を示すほうが伝わりやすく、予定外の行動や集団行動を取りにくいという特性があります。
避難訓練では、災害時に用いるイラストや文字カードを事前に準備し、視覚的に状況や行動を伝えられるようにします。
解説
災害時は、普段と異なる音、人、場所、予定変更が重なります。自閉症スペクトラム障害のある人のなかには、急な変化や曖昧な指示によって強い不安や混乱が生じる人がいます。ただし、必要な配慮は一人ひとり異なるため、Eさんに実際に有効な方法を確認します。
Eさんは絵や文字による情報を理解しやすいため、「避難する」「待つ」「職員と一緒に移動する」「休憩」「助けてほしい」などを示すイラストやカードを準備します。避難経路や行動の順番を視覚的なスケジュールで示す方法も有効です。
訓練は事前に日時や内容を伝え、同じカードや手順を繰り返し使用して、災害時にも理解しやすいようにします。実際の災害が予告なく起こるからといって、訓練まで突然行って強い不安を与える必要はありません。
ひっかけポイント
「本番は突然起こるから、訓練も予告しないほうがよい」と考えないことが重要です。避難訓練の目的は驚かせることではなく、本人が安全な行動を理解し、支援者も適切な対応を身につけることです。
介護実践でのポイント
本人に分かりやすい写真、絵、文字、実物を用い、避難の順番と終了の見通しを示します。訓練前後の様子を観察し、音や人混みなど負担になった要因を記録します。支援方法を職員間で統一し、カードや支援物品は災害時にすぐ取り出せる場所へ保管します。
選択肢の確認
1.災害時に使用する意思伝達のイラストを用意する。
正しいです。 絵や文字による情報が伝わりやすいEさんに合わせた視覚的支援です。災害時の指示やEさん自身の希望を伝えやすくなります。
2.避難生活を想定して,食事等の日課を集団で行えるようにする。
誤りです。 Eさんは集団行動を取りにくいため、集団へ一律に合わせることを目標にするのは適切ではありません。可能な限り慣れた日課を保ち、個別に分かりやすい方法を検討します。
3.予告せずに避難訓練を行う。
誤りです。 予定外の行動を取りにくいEさんへ予告なく訓練を行うと、強い不安や混乱を招く可能性があります。事前に内容と手順を視覚的に伝えます。
4.Eさんの避難訓練は単独で行う。
誤りです。 実際の災害では職員やほかの利用者と避難する可能性があります。必要な個別支援を用いながら安全に訓練へ参加できるようにします。
5.避難を援助する人によってEさんへの対応を変える。
誤りです。 支援者ごとに方法が変わると、Eさんが混乱する可能性があります。本人に有効な伝え方や手順を共有し、対応をできるだけ統一します。
覚えるポイント
- 絵や文字が伝わりやすい人には、イラストや文字カードを用意する。
- 避難経路や行動の順番を視覚化する。
- 訓練は事前に予告し、見通しを示す。
- 集団行動を一律に強制せず、個別の配慮を行う。
- 支援者間で伝え方と対応手順を共有する。