37Q30第37回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみこころとからだのしくみ

次のうち、脳の機能停止を示す徴候に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 5

正答

5.瞳孔散大・対光反射消失

この問題のポイント

脳、特に脳幹の機能停止を示す神経学的な徴候を選ぶ問題です。

瞳孔が散大して固定し、光を当てても縮瞳しない状態は、対光反射を担う中脳を含む脳幹の機能が著しく障害されていることを示します。

解説

対光反射は、眼に光が入ったときに瞳孔が縮小する反射です。光の情報は視神経を通って中脳へ伝えられ、中脳から動眼神経を介して瞳孔括約筋へ指令が送られます。

脳幹の機能が停止すると、この反射経路が働かなくなり、両側の瞳孔が散大して固定し、光を当てても瞳孔が縮小しない状態がみられます。そのため、「瞳孔散大・対光反射消失」は、脳の機能停止を示す徴候として最も適切です。

ただし、瞳孔散大や対光反射の消失だけで、脳死と判定することはできません。薬剤の影響、低体温、代謝異常、眼の外傷などでも反応が変化する可能性があります。法的脳死判定では、原因が明らかな器質的脳障害であることや、回復可能な原因を除外したうえで、深昏睡、瞳孔の固定、複数の脳幹反射の消失、平坦脳波、自発呼吸の消失などを、定められた手順で確認します。

呼吸不全は、肺炎、慢性閉塞性肺疾患、心不全などでも生じるため、脳機能停止に特有の徴候ではありません。また、心停止は心臓の機能停止を示す状態であり、そのままでは脳の機能停止を直接示す神経学的徴候とはいえません。

ひっかけポイント
「自発呼吸の消失」は脳幹機能停止を確認する重要な所見ですが、選択肢1は幅広い原因で生じる「呼吸不全」です。両者を区別します。

介護実践でのポイント
瞳孔の左右差、瞳孔径、対光反射、意識状態、呼吸状態に急な変化がみられた場合は、緊急性が高い可能性があります。介護福祉職だけで判断せず、直ちに医療職へ報告し、必要な緊急対応を行います。

選択肢の確認

1.呼吸不全

誤りです。 呼吸不全は、肺や気道、心臓、神経・筋などさまざまな原因で、身体に必要な酸素を取り込めない、または二酸化炭素を十分に排出できない状態です。脳の機能停止に特有の徴候ではありません。

2.溢流性尿失禁{いつりゅうせいにょうしっきん}

誤りです。 溢流性尿失禁は、前立腺肥大などの尿路閉塞や膀胱収縮力の低下によって尿が膀胱内にたまり、少量ずつあふれ出る状態です。脳の機能停止を示す徴候ではありません。

3.心停止

誤りです。 心停止は、心臓が有効な血液循環を行えなくなった状態です。放置すれば脳にも不可逆的な障害を生じますが、心停止そのものは、脳機能停止を直接示す神経学的徴候ではありません。

4.蠕動運動{ぜんどううんどう}の減弱

誤りです。 消化管の蠕動運動は、自律神経、腸管神経系、薬剤、活動量、食事、疾患などの影響を受けます。蠕動運動の減弱だけでは、脳の機能停止を示しません。

5.瞳孔散大・対光反射消失

正しいです。 両側の瞳孔が散大して固定し、光を当てても反応しない状態は、中脳を含む脳幹反射の消失を示す重要な徴候です。ただし、この所見だけで脳死と判定することはできません。

覚えるポイント

  • 対光反射は、視神経、中脳、動眼神経を通る反射。
  • 瞳孔散大・対光反射消失は、脳幹機能の重大な障害を示す。
  • 呼吸不全は、肺や心臓などさまざまな原因で生じる。
  • 脳死判定は、一つの所見だけでは行わない。
  • 深昏睡、脳幹反射、自発呼吸、脳波などを定められた手順で総合的に確認する。

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