38Q83|第38回 介護福祉士国家試験 過去問
次の記述のうち、認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 3
正答
3.通所介護(デイサービス)を利用中に、出口を探して歩き回る。
この問題のポイント
認知症の中核となる認知機能障害と、行動・心理症状(BPSD)を区別する問題です。
記憶障害、見当識障害、遂行機能障害、失語・失行・失認などは認知機能の障害です。これらに身体状態、心理状態、周囲の環境、かかわり方などが影響して現れる行動や心理症状がBPSDです。
解説
BPSDは、Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略で、認知症に伴う行動・心理症状をいいます。行動面では、目的が周囲に理解されにくい歩行、興奮、拒否、昼夜逆転などがみられることがあります。心理面では、不安、抑うつ、妄想、幻覚などが含まれます。
選択肢3の「出口を探して歩き回る」は、行動として表れているため、BPSDに該当します。ただし、本人にとっては「家に帰りたい」「家族を探したい」「ここがどこかわからず不安」「トイレや静かな場所を探している」などの目的や理由がある可能性があります。単に行動を止めるのではなく、背景を考えることが重要です。
選択肢1は新しい出来事を保持できない記憶障害、選択肢2は自分のいる場所がわからない見当識障害です。選択肢4は服薬管理というIADLの障害で、記憶、判断、遂行機能などの低下が影響します。選択肢5は、入浴に必要な一連の行為を最後まで組み立てにくい生活機能上の困難であり、失行や遂行機能障害などの認知機能を評価する必要があります。
ひっかけポイント
中核症状は「脳の認知機能の低下そのもの」、BPSDは「行動や心理として現れる症状」です。生活上できなくなったことが、すべてBPSDになるわけではありません。
介護実践でのポイント
出口を探して歩く人を、意味のない行動と決めつけません。表情、言葉、歩く方向、時間帯、直前の出来事、空腹、排泄、痛み、騒音、見慣れない環境などを確認します。危険を防ぎながら本人の思いを聴き、安心できる説明や場所への案内、活動の提案などを個別に行います。
選択肢の確認
1.10分前に施設職員が挨拶しに来たことを、覚えていない。
適切ではありません。
直前の出来事を覚えていないのは、近時記憶や新しいことを覚える力の障害です。認知機能障害そのものであり、この問題で求めるBPSDの例ではありません。
2.病院にいるのに、自宅にいると思っている。
適切ではありません。
現在いる場所を正しく認識できないのは、場所に関する見当識障害です。見当識障害は認知症の中核となる認知機能障害です。
3.通所介護(デイサービス)を利用中に、出口を探して歩き回る。
正答。最も適切です。
出口を探して歩き回るという行動は、BPSDの行動症状に該当します。本人の不安、帰宅したい思い、環境のわかりにくさなど、行動の背景をアセスメントする必要があります。
4.薬を処方されても、服薬管理ができない。
適切ではありません。
服薬管理はIADLの一つです。記憶障害、判断力低下、遂行機能障害などによって生活機能が低下した状態であり、行動・心理症状そのものではありません。
5.入浴を促すと、湯につかるだけで出てくる。
適切ではありません。
洗身、洗髪、浴槽への出入りなど、入浴の一連の手順を組み立てたり実行したりすることが難しくなっている可能性があります。失行、遂行機能障害、指示の理解、本人の習慣や希望などを確認すべき生活機能上の課題であり、代表的なBPSDの説明ではありません。
覚えるポイント
記憶障害、見当識障害、遂行機能障害、失語・失行・失認は、認知機能障害です。
不安、抑うつ、妄想、幻覚、興奮、目的が周囲に伝わりにくい歩行などは、BPSDとして現れることがあります。
BPSDは、身体状態、心理状態、環境、周囲のかかわり方によって変化します。
行動を止めることを先に考えず、その人が何を求め、何に困っているのかを確認します。