38Q87|第38回 介護福祉士国家試験 過去問
認知症(dementia)の人への環境の配慮に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 1
正答
1.視覚的認識を容易にするために、廊下の手すりに色をつけて目立つようにする。
この問題のポイント
認知症の人が情報を認識しやすく、落ち着いて安全に生活できる環境を選ぶ問題です。
手すり、扉、便座などを周囲と見分けやすい色や明るさにすると、必要な物の位置を視覚的に捉えやすくなります。一方、強い光、大きな音、細かい模様などの過剰な刺激は、混乱や不安につながることがあります。
解説
認知症の人には、視力そのものの低下だけでなく、複数の情報から必要なものを選ぶ力、物と背景を見分ける力、距離や形を捉える力などが低下している場合があります。そのため、環境は「わかりやすい」「刺激が多すぎない」「本人にとってなじみがある」ことが大切です。
廊下の手すりを壁と区別しやすい色にすると、手すりの位置を見つけやすくなります。重要なのは、特定の色を一律に使うことではなく、壁や床との明度差をつけ、本人が見分けやすいかを確認することです。
ピクトグラムは、文字を読みにくい人にも意味を伝えやすい図記号であり、視覚に働きかける表示です。聴覚に影響を与えるものではありません。
大きなBGMや複数の人の声は、必要な会話を聞き分けにくくし、不安や疲労を強めることがあります。照明は、暗すぎず、まぶしすぎず、影や反射が少ない状態に整えます。細かい模様や強いコントラストの床・壁は、穴、段差、虫、物体などに見えることがあり、落ち着きを損なう場合があります。
ひっかけポイント
認知症の人への環境調整は、「刺激を強くして気づかせる」ことではありません。必要な情報は目立たせ、不要な刺激は減らすことが基本です。
介護実践でのポイント
同じ認知症の診断でも、見え方や感じ方は人によって異なります。環境を変えた後は、本人が手すりを使いやすくなったか、落ち着いて移動できるか、まぶしさや怖さを感じていないかを観察し、必要に応じて調整します。
選択肢の確認
1.視覚的認識を容易にするために、廊下の手すりに色をつけて目立つようにする。
正答。最も適切です。
手すりを壁や背景から区別しやすくすると、位置を見つけやすくなり、安全な移動を支えます。本人の視覚状態に合わせ、周囲との明度差がわかりやすい色を選びます。
2.聴覚に影響を与えるために、ピクトグラム(pictogram)を表示する。
適切ではありません。
ピクトグラムは、情報を絵や図記号で示す視覚的な手段です。トイレ、食堂、出口などを見つけやすくすることはできますが、聴覚に働きかける表示ではありません。
3.音の選択的聴取の力を高めるために、BGM(background music)の音量を大きくする。
適切ではありません。
BGMを大きくすると、会話や必要な音を聞き分けにくくなり、疲労、不安、混乱を招く可能性があります。音環境は静かに整え、必要な声かけが届きやすくします。
4.穏やかに生活するために、居室の光の刺激を強くする。
適切ではありません。
強すぎる光は、まぶしさ、反射、強い影を生じさせ、落ち着きを損なうことがあります。日中と夜間の区別に配慮しながら、均一で適度な明るさを確保します。
5.落ち着く空間をつくるために、居室を細かい模様の壁紙で統一する。
適切ではありません。
細かい模様は、物や虫があるように見えたり、視覚情報が多すぎて疲れたりすることがあります。壁や床は、本人になじみがあり、単純で見分けやすいデザインが基本です。
覚えるポイント
必要な物は、背景との色や明るさの差をつけて見つけやすくします。
ピクトグラムは、視覚的な情報です。
大きな音、まぶしい光、細かい模様など、不要な刺激は減らします。
環境調整は一律に行わず、本人の反応を確認して個別に修正します。