38Q88|第38回 介護福祉士国家試験 過去問
次の記述のうち、認知症(dementia)の人の遂行機能障害の症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.調理の手順を順序だてて行うことができない。
この問題のポイント
遂行機能障害を、記憶障害、失行、半側空間無視、失認などと区別する問題です。
遂行機能とは、目的を決め、計画を立て、手順を順番に実行し、結果を確認しながら行動を修正する力です。調理の工程を適切な順序で進められないのは、遂行機能障害の典型例です。
解説
遂行機能は、複数の工程を含む生活行為を行うために必要です。たとえば料理では、献立を決める、材料と道具をそろえる、切る、加熱する、味つけする、盛りつけるという工程を、目的に合わせて順序よく進めなければなりません。
遂行機能障害があると、何から始めればよいかわからない、途中で別の行動に移る、工程を飛ばす、同じ工程を繰り返す、状況に応じて方法を変えられないなどの困難がみられます。選択肢4の「調理の手順を順序だてて行うことができない」がこれに該当します。
食事をした事実そのものを忘れるのは記憶障害です。道具の使い方がわからなくなるのは失行、特に道具の使用に関する観念失行などを考えます。左側の食べ物を見落とすのは左半側空間無視の例です。皿の模様を食べ物と取り違えるのは、視覚的な認識の障害や錯視を考えます。
ひっかけポイント
「道具をどう使うかがわからない」は失行、「複数の工程をどの順番で進めるかがわからない」は遂行機能障害です。
介護実践でのポイント
一連の作業をすべて代行するのではなく、工程を一つずつ短く伝える、使う物を順番に並べる、不要な物を片づける、見本を示すなどの支援を行います。火や刃物を使う場面では安全を確保しながら、本人ができる工程に参加できるようにします。
選択肢の確認
1.ご飯を食べたことを忘れて、ご飯をほしいと言う。
適切ではありません。
食事をした出来事を保持できないのは記憶障害です。本人にとっては食べていないという体験になっているため、責めずに空腹感や食事時刻を確認して対応します。
2.包丁の使い方を忘れて、うまく使うことができない。
適切ではありません。
運動機能が保たれていても、道具の使い方や目的に合った動作ができない状態は失行として捉えます。複数の工程の計画や順序が中心となる遂行機能障害とは区別します。
3.食事が配膳されているが、左側のものを残す。
適切ではありません。
左側の空間にある物へ注意を向けにくい左半側空間無視を考える所見です。脳血管障害などでみられ、食器の配置や声かけを工夫する必要があります。
4.調理の手順を順序だてて行うことができない。
正答。最も適切です。
目的に向けて計画を立て、複数の工程を適切な順序で進めることが難しいため、遂行機能障害に該当します。
5.皿の模様をおかずと間違えて、スプーンですくおうとする。
適切ではありません。
見えている物を正しく認識できない視覚失認や、模様を実物のように知覚する錯視などが考えられます。調理などの手順を組み立てる遂行機能障害の説明ではありません。
覚えるポイント
遂行機能障害は、計画、開始、順序づけ、確認、修正が難しくなる障害です。
食べたことを忘れるのは記憶障害です。
道具の使い方がわからないのは失行です。
片側の物を見落とすのは半側空間無視です。
支援では、作業を一工程ずつ示し、できる部分を本人が続けられるように環境を整えます。