9PM148第9回 公認心理師国家試験 過去問

発達心理学-01 乳児期:原始反射・知覚発達

7 歳の男児A、小学 2 年生。半年前に児童養護施設に入所した。施設内に勤務する公認心理師が、主任保育士からAの状態について相談を受けた。Aは乳児期に居室内で数日間放置され、その後も居所を転々とした。夜間徘徊により保護され、 6 歳時に現在の施設に入所した。入所初日から職員たちになつく様子をみせ楽しそうであったが、寝付きが悪かった。施設内では、初めて会う来客や実習生にも警戒なく近づき、手をつないだり膝に座ろうとしたりすることがある。学校でも同級生との関わりは少なく、通学路では見知らぬ人に「お家に連れて行って」と頼んだという。  Aの状態の理解として、適切なものを 1 つ選べ。

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正解: 4

正答

4

この問題のポイント

この事例では、養育の著しい不十分さの後にみられる、見知らぬ大人への過度に親密な接近から、脱抑制型対人交流障害を理解することが重要です。

Aは乳児期に数日間放置され、その後も居所を転々とし、夜間徘徊により保護されています。施設入所後も、初めて会う来客や実習生に警戒なく近づき、手をつなぐ、膝に座ろうとする、通学路で見知らぬ人に「お家に連れて行って」と頼むなど、対人境界の乏しさが目立ちます。

解説

脱抑制型対人交流障害は、幼少期の著しいネグレクト、養育者の頻繁な交代、安定した愛着形成の機会の不足などを背景に、見知らぬ大人に対して過度に親しげに接近する状態です。

この事例のAは、7歳の男児で、児童養護施設に入所しています。乳児期に居室内で数日間放置され、その後も居所を転々とし、安定した養育者との関係を築きにくい状況が続いています。施設では初対面の来客や実習生にも警戒なく接近し、学校でも同級生との関わりは少ない一方で、見知らぬ人に「お家に連れて行って」と頼んでいます。

これは、単なる人懐っこさではありません。年齢相応の警戒心や対人境界が十分に働いておらず、安全上のリスクもあります。公認心理師としては、Aを叱責するのではなく、背景にある愛着形成の困難、養育歴、安心できる関係の不足を理解し、施設職員と連携して一貫した支援環境を整える必要があります。

反応性アタッチメント障害は、養育者に対する情緒的引きこもりや、慰められても反応しにくいことが中心です。本事例では、引きこもりよりも、見知らぬ人への無警戒で過度な接近が中心です。

公認心理師としての注意点
愛着関連の問題では、表面的な人懐っこさだけで判断しません。養育歴、対人境界、安全性、特定の養育者との関係形成を丁寧に確認します。

選択肢の確認

1.レット症候群
判定:適切とはいえない。
レット症候群は、主に女児にみられ、発達の停滞や退行、手の常同運動、運動機能や言語機能の障害などが特徴です。本事例では、見知らぬ大人への無警戒な接近が中心であり、レット症候群の説明ではありません。

2.ウィリアムズ症
判定:適切とはいえない。
ウィリアムズ症では、特有の顔貌、心血管系の問題、知的発達の特性、過度に社交的な対人傾向などがみられることがあります。ただし、本事例では、乳児期からの放置や居所の変化という養育歴があり、愛着関連の障害として理解するのが適切です。

3.注意欠如多動症
判定:適切とはいえない。
注意欠如多動症では、不注意、多動性、衝動性が中心です。本事例では、初対面の大人への過度な接近、見知らぬ人についていこうとするような対人境界の問題が中心であり、注意欠如多動症が最も適切とはいえません。

4.脱抑制型対人交流障害
判定:最も適切。
脱抑制型対人交流障害では、養育の著しい不十分さを背景に、見知らぬ大人へ過度に親しげに接近する行動がみられます。Aは初対面の来客や実習生に警戒なく近づき、通学路で見知らぬ人に「お家に連れて行って」と頼んでおり、最も適切です。

5.反応性アタッチメント障害
判定:適切とはいえない。
反応性アタッチメント障害では、養育者への情緒的な引きこもり、慰めを求めない、慰めに反応しにくいなどが中心です。Aはむしろ見知らぬ人にも過度に近づいており、脱抑制型対人交流障害がより適切です。

覚えるポイント

  • 脱抑制型対人交流障害は、見知らぬ大人への無警戒で過度に親密な接近が特徴です。
  • 背景には、ネグレクト、養育者の頻繁な交代、安定した愛着形成の不足が関係します。
  • 反応性アタッチメント障害は、養育者への情緒的引きこもりが中心です。
  • 人懐っこさに見えても、安全上のリスクや対人境界の問題を評価します。
  • 支援では、叱責ではなく、安心できる一貫した関係と生活環境を整えることが重要です。

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