115A027|第115回 歯科医師国家試験 過去問
72 歳の男性。食事がしづらいことを主訴として来院した。半年前に脳梗塞を発 症したという。日常生活に支障をきたす運動障害は認められなかった。初診時の医 療面接で一部聞き取りにくい単語が認められた。診断をした結果、機能訓練を行う こととした。訓練中の写真 (別冊No. 5 )を別に示す。 訓練に有効な装置はどれか。 1つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
脳梗塞後の構音・嚥下障害で、障害部位が舌なのか軟口蓋なのかを見極め、適切な補助装置を選びます。
解説
脳梗塞後には、外見上大きな運動障害がなくても、舌や軟口蓋などの協調運動が低下し、発音の不明瞭化や摂食嚥下のしづらさを生じることがあります。
軟口蓋の運動が低下すると、発音や嚥下時に鼻咽腔を十分に閉鎖できません。軟口蓋挙上装置は、下垂した軟口蓋を上方・後上方へ持ち上げ、咽頭壁との接触を得やすくする装置です。脳血管障害などによる軟口蓋麻痺・鼻咽腔閉鎖機能不全に対し、機能訓練と組み合わせて用います。
画像の確認
実画像では、患者が長いストローを口にくわえ、容器内へ持続的に呼気を送る訓練場面が示されている。口腔内圧を保つには鼻咽腔側への呼気漏れを抑える必要があるため、軟口蓋機能を補助する軟口蓋挙上装置を選ぶ判断につながる。
選択肢の確認
a.スプリント
誤り。
スプリントは顎関節症、ブラキシズム、咬合性外傷などに用いる口腔内装置です。軟口蓋運動を補助する装置ではありません。
b.舌接触補助床
誤り。
舌接触補助床は口蓋面を低く厚くし、運動機能が低下した舌が口蓋へ接触しやすくなるよう補助します。舌による食塊移送や構音を改善しますが、軟口蓋挙上を目的としません。
c.スピーチエイド
誤り。
スピーチエイドは、軟口蓋の組織欠損や長さ不足などによる鼻咽腔閉鎖不全で、咽頭部の空隙を補うために用います。運動麻痺で下垂した軟口蓋を持ち上げる本装置とは役割が異なります。
d.軟口蓋挙上装置
正しい。
神経筋機能低下によって十分に挙上できない軟口蓋を機械的に持ち上げ、発音時・嚥下時の鼻咽腔閉鎖を補助します。
e.オブチュレーター
誤り。
オブチュレーターは、顎切除後や口蓋裂などによる口腔と鼻腔の実質的な欠損・交通を閉鎖する装置です。本症例には組織欠損を示す情報がありません。
覚えるポイント
- 軟口蓋挙上装置は、軟口蓋の組織量はあるが運動が低下した場合に用います。
- 舌接触補助床は、舌と口蓋の接触を得やすくする装置です。
- スピーチエイド・オブチュレーターは、主に組織欠損や形態不足を補います。