115A035第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科補綴学

ある人の身元確認のためのデンタルチャートの照合結果を表に示す。 (生前・死後のデンタルチャート照合表は問題画像参照) AF:アマルガム、FMC:全部金属冠、In:インレー、IP:インプラント、 MB:陶材焼付金属冠、RF:レジン、TEK:暫間被覆冠 矛盾すると考えられるのはどれか。1つ選べ。

115A035の問題画像
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正解: c

正答

c

この問題のポイント

生前記録から死後記録までの間に、歯科治療や抜歯によって起こり得る変化か、それとも歯質削除の方向からみて成立しない変化かを判定します。

解説

身元確認では、生前のデンタルチャートと死後所見を歯ごとに照合します。記録時点から死亡までの間に治療を受けている可能性があるため、所見が異なるだけで直ちに矛盾とはしません。

たとえば、修復材料の交換、クラウンの除去と暫間被覆冠の装着、抜歯後のインプラント治療、健全歯の抜歯は時間の経過で起こり得ます。

一方、生前に4/5冠が装着されていた歯は、インレーより広い範囲の歯質がすでに削除されています。その歯が死後にインレーだけで修復されているという変化は、失われた歯質が自然に戻ることになるため、通常の治療経過として成立しません。したがってウが矛盾です。

照合のポイント
生前から死後へ向かう時間の流れを固定し、「追加の切削・修復・抜歯で説明できるか」を一つずつ確認します。

画像の確認

実画像では、生前記録と死後所見の歯科所見を対応させた表があり、ウの歯は生前が4/5冠、死後がインレーと記載されている。歯質削除量の大きい4/5冠が、後により小さいインレー所見へ戻る対応は成立しにくいため、ウを矛盾箇所とする正答を支える。

選択肢の確認

a.ア
正答ではありません。
生前の陶材焼付金属冠〈MB〉が除去され、再治療中に暫間被覆冠〈TEK〉となることは起こり得ます。時間経過で説明できる変化です。

b.イ
正答ではありません。
生前のアマルガム修復〈AF〉を除去し、レジン修復〈RF〉へ置き換えることは可能です。

c.ウ
正答。矛盾します。
生前の4/5冠はインレーより広範囲の歯質を被覆する修復物です。その後に、より小範囲のインレーだけが存在する状態へ戻ることは通常できません。

d.エ
正答ではありません。
全部金属冠〈FMC〉が装着されていた歯を抜去し、その部位にインプラント〈IP〉を埋入する経過は成立します。

e.オ
正答ではありません。
生前に健全歯であっても、その後の疾患、外傷、治療によって死亡時には欠損となることがあります。

覚えるポイント

  • デンタルチャート照合では、所見の一致だけでなく時間的に可能な変化かを判定します。
  • 修復物の交換、クラウンから暫間冠、歯からインプラント、健全歯から欠損は起こり得ます。
  • 大きく削除した歯が、より小さい修復物だけで元の歯質量へ戻る変化は矛盾を疑います。

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