115A036|第115回 歯科医師国家試験 過去問
10 歳の女児。定期的な口腔管理を希望して来院した。全顎的な歯の色調異常に 気付いていたが症状はなかったためそのままにしていたところ、 7歳ころから永久 歯に冷水痛を認めたため他院で修復治療を受けたという。初診時の口腔内写真 (別 冊No. 8A とエックス線画像 (別冊No. 8B を別に示す。 考えられるのはどれか。 1つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
全顎的な歯の色調異常と永久歯の冷水痛から、エナメル質の遺伝性形成異常であるエナメル質形成不全症を考えます。
解説
エナメル質形成不全症は、エナメル質の形成に関わる遺伝子異常によって、原則として多数歯にエナメル質の量的または質的異常を生じる疾患群です。乳歯列と永久歯列の双方に現れることがあります。
病型によって、エナメル質が薄い、軟らかい、石灰化が不十分、表面が粗造、黄褐色に変色するなどの所見を示します。エナメル質による保護が不十分なため、温度刺激への過敏、急速な咬耗、審美障害を生じ、早期から修復処置が必要になることがあります。
画像の確認
実画像では、上下顎の多数歯にわたりエナメル質が黄褐色で粗造・菲薄にみえ、広範な実質欠損と修復物が認められる。パノラマエックス線写真でも単一歯に限られず多数歯が同様に影響されている。全顎的なエナメル質形成異常という分布が、エナメル質形成不全症の選択を支える。
選択肢の確認
a.骨形成不全症
誤り。
骨形成不全症は骨脆弱性、易骨折性、青色強膜などを特徴とします。歯には象牙質形成不全症を伴うことがありますが、本問の中心は全顎的なエナメル質異常です。
b.歯のフッ素症
誤り。
歯のフッ素症は歯冠形成期の過剰なフッ化物摂取によるエナメル質形成障害で、左右対称性の白斑、褐色斑、重症例では小窩を示します。全顎的な遺伝性エナメル質異常としての本症例とは異なります。
c.象 牙質形成不全症
誤り。
象牙質形成不全症では乳歯・永久歯がオパール様に変色し、球状歯冠、歯頸部狭窄、短い歯根、歯髄腔の狭窄・閉鎖などを認めます。主病変は象牙質です。
d.エナメル質形成不全症
正しい。
全顎的な色調異常、永久歯萌出後からの冷水痛、複数歯への修復歴は、エナメル質の量・質が広範に障害される病態に合致します。
e.低フォスファターゼ症
誤り。
低フォスファターゼ症ではアルカリホスファターゼ活性低下により骨・歯の石灰化が障害されます。セメント質形成不全による乳歯の早期脱落が重要な歯科所見です。
覚えるポイント
- エナメル質形成不全症はエナメル質の量的・質的異常です。
- 象牙質形成不全症はオパール様変色、球状歯冠、歯髄腔狭窄が重要です。
- 低フォスファターゼ症ではセメント質形成不全と乳歯早期脱落を覚えます。