115B025|第115回 歯科医師国家試験 過去問
50 歳の男性。右側顎下部の腫脹を主訴として来院した。 1か月前から徐々に増 大してきたという。右側顎下部皮膚に発赤は認めない。CT (別冊No. 5A 、MRI (別冊No. 5B 、FDG-PET/CT (別冊No. 5C 及び生検時のH-E 染色病理組織像 (別冊No. 5D を別に示す。 診断名はどれか。 1つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
成人の顎下部に、発赤を伴わず徐々に増大する腫脹があり、CT、MRI、FDG-PET/CT、生検が提示されています。炎症性疾患、神経原性腫瘍、免疫関連疾患と比較して、悪性リンパ腫を判断します。
解説
症例は50歳の男性で、右側顎下部の腫脹が1か月かけて増大しています。皮膚の発赤がないため、急性化膿性炎症よりも、リンパ節や唾液腺に生じる腫瘍性病変を考えます。
悪性リンパ腫は、リンパ球系細胞が腫瘍性に増殖する疾患です。頸部リンパ節腫脹として発見されることがあり、比較的短期間に増大しても、初期には疼痛や皮膚発赤を伴わない場合があります。FDG-PET/CTは、病変の代謝活性と全身への広がりを評価するために有用です。確定診断には、十分な組織を採取した病理組織学的検査と免疫組織化学的検査が必要です。
画像・病理像で見るポイント
画像では病変の部位、境界、内部性状、周囲組織との関係、FDG集積の分布を確認します。病理では、正常構築が保たれているか、単調な異型リンパ球の増殖があるか、肉芽腫・膿瘍・神経鞘腫に特徴的な構造があるかを確認します。
画像の確認
実画像では、右顎下部に複数の結節が連なる腫瘤がCTと脂肪抑制T2強調MRIで描出され、FDG-PET/CTでも同部に強い集積がみられる。組織像では類似した円形細胞がびまん性かつ密に増殖し、肉芽腫や神経鞘腫の特徴的配列は示されていない。これらの所見が悪性リンパ腫の選択を支える。
選択肢の確認
a.結 核
誤り。
結核性リンパ節炎では、類上皮細胞肉芽腫、Langhans型巨細胞、乾酪壊死などが診断の手掛かりになります。慢性頸部リンパ節腫脹を生じますが、病理像が悪性リンパ腫とは異なります。
b.神経鞘腫
誤り。
神経鞘腫はSchwann細胞由来の良性腫瘍です。病理ではAntoni A型・B型の領域や核の柵状配列などがみられ、リンパ球系腫瘍とは異なります。
c.放線菌症
誤り。
放線菌症では、硬い板状硬結、膿瘍、瘻孔形成などを認めることがあり、病理では菌塊である硫黄顆粒が手掛かりになります。本症例の発赤を欠く腫瘍性経過とは合いにくい病態です。
d.悪性リンパ腫
正しい。
無痛性または軽い違和感のみの頸部腫脹が比較的短期間に増大し、FDG-PET/CTと生検によって全身評価・確定診断を行う病態として適合します。
e.IgG4 関連疾患
誤り。
IgG4関連疾患では、唾液腺の対称性腫脹や他臓器病変を伴うことがあり、病理ではリンパ球・形質細胞浸潤、花筵状線維化、閉塞性静脈炎、IgG4陽性形質細胞の増加などを評価します。悪性リンパ腫とは診断法と組織像が異なります。
覚えるポイント
- 増大する無痛性頸部腫脹では、悪性リンパ腫を鑑別します。
- FDG-PET/CTは病変の全身分布の評価に有用ですが、確定診断は生検で行います。
- 結核は肉芽腫、放線菌症は菌塊、神経鞘腫は神経鞘由来の組織構築が鑑別点です。