115D045|第115回 歯科医師国家試験 過去問
65 歳の男性。右側頰粘膜部の腫脹を主訴として来院した。 1か月前に自覚した が大きさの変化はないという。初診時の口腔内写真 (別冊No. 11A 、CT (別冊No. 11B 、MRI (別冊No. 11C 、術中の口腔内写真 (別冊No. 11D 及び摘出物のH-E 染色病理組織像 (別冊No. 11E を別に示す。 診断名はどれか。 1つ選べ。

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正解: b
正答
b
この問題のポイント
頰粘膜の無痛性・限局性腫脹では、画像で嚢胞性か充実性かを確認し、病理像で粘液の貯留、嚢胞壁、唾液腺組織を評価します。
解説
65歳男性で、右側頰粘膜部の腫脹は1か月間大きさが変わっていません。口腔内写真では右頰粘膜下に境界明瞭な半球状隆起がみられます。CT・脂肪抑制T2強調MRIでは、右頰部に限局した液体成分を示唆する病変が確認できます。術中写真では周囲から剝離された類円形病変がみられます。
病理組織像では大きな嚢胞状腔と、周囲の肉芽組織、近接する小唾液腺がみられます。強拡大では粘液内に泡沫状の組織球を認め、導管損傷によって漏出した粘液に対する反応を示します。以上から粘液囊胞、特に粘液溢出型が考えられます。
病理像で見るポイント
真の上皮性裏装の有無、腔内の内容、泡沫細胞、周囲の小唾液腺を確認します。粘液溢出型では上皮性裏装を欠き、肉芽組織が粘液を囲みます。
画像の確認
実画像では、右頰粘膜下の丸い隆起がCT・脂肪抑制T2強調像で限局性病変として描出され、摘出像も類円形である。組織像で大きな粘液性腔と周囲の小唾液腺、泡沫状細胞が見えるため、粘液囊胞を選ぶ正答bを支える。
選択肢の確認
a.脂肪腫
誤り。
脂肪腫は成熟脂肪細胞からなる充実性病変です。病理像の粘液貯留腔と泡沫状組織球には一致しません。
b.粘液囊胞
正しい。
小唾液腺導管から漏出した粘液を肉芽組織が囲む像がみられ、頰粘膜の限局性腫脹と一致します。
c.類皮囊胞
誤り。
類皮囊胞は口底正中部などに好発し、重層扁平上皮で裏装された腔内に角化物を含みます。本症例の部位と病理像は異なります。
d.腺様囊胞癌
誤り。
腺様囊胞癌は浸潤性の悪性唾液腺腫瘍で、篩状構造や神経周囲浸潤が特徴です。境界明瞭な粘液貯留性病変の像とは合いません。
e.リンパ管腫
誤り。
リンパ管腫では薄い内皮で覆われた多数のリンパ管腔が増生し、臨床的に多房性・びまん性を示すことがあります。本病理像の単一の粘液貯留腔とは異なります。
覚えるポイント
- 粘液囊胞には粘液溢出型と貯留型があります。
- 粘液溢出型は上皮性裏装を欠き、肉芽組織と泡沫細胞が粘液を囲みます。
- 画像では嚢胞性、病理では内容物と壁構造を確認します。