119A040第119回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床口腔外科学

86 歳の女性。上顎前歯部口蓋側の腫脹を主訴として来院した。3 か月前から自 覚していたが痛みがないため、そのままにしていたという。触診によって軽度の圧 痛を認めるが、粘膜の色に異常は認めない。初診時のエックス線画像(別冊No. 7 A)、CT 軟組織表示横断像(別冊No. 7B)、CT 硬組織表示横断像(別冊No. 7C)、 MRI 脂肪抑制T2 強調横断像(別冊No. 7D)及びMRI T1 強調冠状断像(別冊No. 7 E)を別に示す。 最も考えられるのはどれか。1 つ選べ。

119A040の問題画像
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正解: d

正答

d

この問題のポイント

上顎前歯部口蓋側の正中に生じる発育性嚢胞では、鼻口蓋管囊胞を考えます。

解説

鼻口蓋管囊胞は切歯管内の鼻口蓋管上皮遺残から生じる非歯原性嚢胞です。上顎中切歯間から切歯孔周囲に発生し、無痛性の口蓋側腫脹として発見されることがあります。隣接歯の歯髄生活反応が保たれることが鑑別に重要です。

画像では上顎前歯部正中の境界明瞭な透過性病変を示すことが多く、切歯管との位置関係をCTで確認します。

画像の確認

実画像では上顎前歯部正中の切歯管に一致して境界明瞭な囊胞性病変があり、CTで切歯管周囲の骨膨隆、MRIで液体性内容を示す高信号域が確認できる。歯根尖を中心とする病変ではなく正中の鼻口蓋管に沿うため、鼻口蓋管囊胞に合致する。

選択肢の確認

a.歯根囊胞
誤り。
歯根囊胞は失活歯の根尖部に生じる炎症性歯原性嚢胞です。正中の切歯管由来病変とは歯髄生活反応と位置関係が異なります。

b.粘液囊胞
誤り。
粘液囊胞は小唾液腺の粘液漏出・貯留による軟組織病変で、下唇に好発します。上顎前歯部の骨内病変ではありません。

c.鼻歯槽囊胞
誤り。
鼻歯槽囊胞は鼻翼基部から上顎前歯部唇側の軟組織に生じ、通常は骨外性です。口蓋正中の骨内病変とは異なります。

d.鼻口蓋管囊胞
正答。最も考えられます。
上顎前歯部口蓋側の正中腫脹と切歯管周囲の病変は、鼻口蓋管囊胞の典型的な部位に一致します。

e.術後性上顎囊胞
誤り。
術後性上顎囊胞は上顎洞手術後、長期間を経て上顎洞部に生じます。上顎前歯部正中の病変とは部位と既往が異なります。

覚えるポイント

  • 鼻口蓋管囊胞は上顎前歯部正中の切歯管に発生します。
  • 歯根囊胞との鑑別では隣接歯の生活反応を確認します。
  • 鼻歯槽囊胞は骨外性で鼻翼基部・唇側に生じます。

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