116B060|第116回 歯科医師国家試験 過去問
78 歳の男性。右側舌縁部の疼痛を主訴として来院した。6 か月前に自覚し、か かりつけ歯科医で副腎皮質ステロイド軟膏の処方を受けているが、再発を繰り返し ているという。50 年間毎日20 本以上喫煙しており、飲酒歴はない。初診時の舌縁 の写真(別冊No. 21)を別に示す。 適切な対応はどれか。3 つ選べ。

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正解: a・b・e
正答
a、b、e
この問題のポイント
長期間反復する舌縁病変では、外傷因子と発癌リスクを同時に評価し、安易な対症療法を続けません。
解説
6か月間再発を繰り返す舌縁病変、長期大量喫煙歴、ステロイド軟膏で改善しない経過から、口腔潜在的悪性疾患や早期癌を除外する必要があります。まず細胞診などの検査を行い、必要なら生検へ進みます。同時に発癌リスクを下げる禁煙支援を行い、慢性機械刺激の原因となる歯の鋭縁を確認します。診断確定前に舌部分切除を行うことはありません。
症例問題の解き方
治りにくい潰瘍・白斑・紅斑では、2週間以上の持続、硬結、易出血、頸部リンパ節、喫煙・飲酒歴、機械刺激を確認し、悪性を除外します。
画像の確認
実画像では、右側舌縁に中心が黄白色で周囲に淡い発赤を伴う不整な浅い潰瘍状病変がみえる。長期喫煙者で同部位に反復しているという経過と合わせ、単なる感染と決めず細胞診を行い、舌縁に接触する歯の鋭縁確認と禁煙支援を並行する必要がある。
選択肢の確認
a.細胞診
正しい。
持続・再発する舌縁病変では異型細胞の有無を評価するため細胞診を行い、疑わしければ組織生検へ進みます。
b.禁煙支援
正しい。
長期大量喫煙は口腔癌の重要な危険因子であり、診断過程と並行して禁煙支援を行います。
c.舌部分切除
誤り。
舌部分切除は悪性腫瘍などの診断と進展範囲を確定した後に検討する治療で、初期対応ではありません。
d.抗菌薬の投与
誤り。
発熱、膿瘍、化膿性炎症などの感染所見が示されておらず、抗菌薬を経験的に投与する根拠はありません。
e.歯の鋭縁の確認
正しい。
舌縁に接触する歯や修復物の鋭縁は慢性外傷の原因となるため、必ず確認します。
覚えるポイント
- 2週間以上治らない口腔粘膜病変は悪性を除外する。
- 舌縁は口腔癌の好発部位。
- 検査、禁煙支援、機械刺激除去を並行して行う。