116B066|第116回 歯科医師国家試験 過去問
44 歳の女性。口蓋の腫脹部の精査を希望して来院した。かかりつけ歯科医で指 摘されたという。口蓋に弾性軟から中等度、無痛性の腫瘤を認める。初診時の口腔 内写真(別冊No. 25A)、CT(別冊No. 25B)、MRI(別冊No. 25C)及びH-E 染色病 理組織像(別冊No. 25D)を別に示す。 診断名はどれか。1 つ選べ。

解答・解説を見る
正解: d
正答
d
この問題のポイント
口蓋の無痛性腫瘤では小唾液腺腫瘍を考え、病理で上皮・筋上皮成分と間質を評価します。
解説
口蓋には小唾液腺が多く、無痛性で境界明瞭な緩徐発育性腫瘤は唾液腺腫瘍を疑います。病理では腺管状・胞巣状の上皮/筋上皮細胞と、粘液腫様・硝子様の多彩な間質が混在しており、多形腺腫に一致します。多形腺腫は被膜外へ小結節状に進展することがあるため、単純な核出ではなく周囲組織を含めて切除します。
病理像で見るポイント
多形腺腫は「多彩な細胞」ではなく、上皮・筋上皮性構造と粘液腫様、軟骨様、硝子様などの間質が混在することが名称の由来です。
画像の確認
実画像では、硬口蓋後方に表面平滑で境界の比較的明瞭な半球状腫瘤があり、CT・MRIでも口蓋の軟組織内に限局する充実性腫瘤として描出されている。病理像では腺管状・胞巣状の細胞成分と淡い粘液様ないし硝子様の間質が混在しており、この多彩な組合せが多形腺腫の正答を支持する。
選択肢の確認
a.血管腫
誤り。設問の所見とは一致しにくい疾患です。
血管腫では圧迫による退色、拍動、血管腔の増生などが中心で、提示された腺管と多彩な間質とは異なります。
b.線維腫
誤り。設問の所見とは一致しにくい疾患です。
線維腫は膠原線維と線維芽細胞の増生が主体で、唾液腺由来の腺管構造を示しません。
c.乳頭腫
誤り。設問の所見とは一致しにくい疾患です。
乳頭腫は表面が乳頭状・疣状となる上皮性病変で、粘膜下の弾性腫瘤と病理像に合いません。
d.多形腺腫
正答。最も考えられます。
上皮・筋上皮性胞巣と腺管、粘液腫様・硝子様間質の混在が多形腺腫に一致します。
e.粘表皮癌
誤り。設問の所見とは一致しにくい疾患です。
粘表皮癌では粘液産生細胞、中間細胞、類表皮細胞が混在します。提示像の多形性間質とは異なります。
f.腺様囊胞癌
誤り。設問の所見とは一致しにくい疾患です。
腺様囊胞癌では篩状構造や神経周囲浸潤が特徴で、疼痛を伴うこともあります。提示像とは異なります。
g.扁平上皮癌
誤り。設問の所見とは一致しにくい疾患です。
扁平上皮癌は上皮異型、浸潤性胞巣、角化などを示し、通常は潰瘍・硬結を伴います。
h.Warthin 腫瘍
誤り。設問の所見とは一致しにくい疾患です。
Warthin腫瘍は好酸性上皮とリンパ組織からなり、ほとんどが耳下腺に生じ、口蓋小唾液腺にはまれです。
覚えるポイント
- 口蓋無痛性腫瘤では小唾液腺腫瘍を考える。
- 多形腺腫は上皮・筋上皮成分と多彩な間質。
- 多形腺腫は核出ではなく安全域を含めた切除。