116B077第116回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科放射線学

56 歳の女性。下顎左側臼歯部の痛みと歯の動揺を主訴として来院した。2 か月 前から疼痛を自覚し、次第に動揺してきたという。下顎左側臼歯部に42 × 20 mm 大の腫瘤を認め、生検の結果は扁平上皮癌であった。FDG-PET/CT で遠隔転移を 認めなかった。初診時の口腔内写真(別冊No. 31A)、エックス線画像(別冊No. 31 B)及びFDG-PET/CT(別冊No. 31C)を別に示す。 TNM 分類(UICC2017)はどれか。1 つ選べ。

116B077の問題画像
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正解: d

正答

d

この問題のポイント

口腔癌のTNM分類は、腫瘍径だけでなく隣接組織への浸潤、頸部リンパ節の数・側・大きさ、遠隔転移を順に評価します。

解説

原発巣は42 × 20 mmですが、エックス線画像で下顎骨への浸潤を認めるため、単なる大きさによるT2やT3ではなくT4aです。FDG-PET/CTでは同側頸部に複数の転移リンパ節を認め、最大径6 cm以下であることからN2bに相当します。遠隔転移は認めないためM0です。以上よりT4aN2bM0となります。

症例問題の解き方
最初にM0かM1かを確認し、次に原発巣の隣接組織浸潤でTを決め、最後にリンパ節の側・個数・大きさからNを決めます。

画像の確認

実画像では、下顎左側臼歯部に歯を取り囲む大きな潰瘍性・隆起性腫瘤があり、パノラマ像では同部の下顎骨に不整な骨破壊がみえる。FDG-PET/CTでは左側原発部に加えて同側頸部に複数の集積が描出され、本文の遠隔転移なしと合わせ、下顎骨浸潤T4a・同側複数リンパ節N2b・M0の組合せを支持する。

選択肢の確認

a.T1N2bM0
誤った組合せです。
NとMは合いますが、原発巣が下顎骨へ浸潤しているためT1ではなくT4aです。

b.T2N1M1
誤った組合せです。
遠隔転移ありのM1としていますが、設問では遠隔転移を認めません。またリンパ節は単発N1ではありません。

c.T3N2aM1
誤った組合せです。
M1が誤りで、同側単発リンパ節を想定するN2aも提示像と合いません。

d.T4aN2bM0
正しい組合せです。
下顎骨浸潤、同側複数リンパ節転移、遠隔転移なしをすべて満たします。

e.T4bN3aM0
誤った組合せです。
咀嚼筋間隙・翼状突起・頭蓋底などへの浸潤や6 cm超のリンパ節を想定する分類で、提示所見より進行しています。

覚えるポイント

  • 下顎骨など隣接組織への浸潤があれば腫瘍径だけでTを決めない。
  • 同側複数リンパ節で最大径6 cm以下はN2bを考える。
  • 遠隔転移なしはM0。

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