117A068|第117回 歯科医師国家試験 過去問
55 歳の男性。開口障害を主訴として来院した。7 日前にかかりつけ歯科医で下 顎右側智歯を抜去し、アモキシシリン水和物とロキソプロフェンナトリウム水和物 を3 日間服用したが自発痛が続き、徐々に口が開かなくなったという。体温は 38.0℃だが、顔面はほぼ対称である。初診時のエックス線画像(別冊No. 25A)と CT(別冊No. 25B、C、D)を別に示す。 膿瘍の部位はどれか。1 つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
智歯抜歯後の発熱と強い開口障害があり、顔面腫脹が目立たない場合は、深部の咽頭側隙感染を考えます。
解説
咽頭側隙〈傍咽頭隙〉は咽頭の外側に位置する深頸部隙で、歯性感染が波及すると発熱、嚥下痛、咽頭側壁腫脹、開口障害などを生じます。深部にあるため、外見上の顔面腫脹が乏しいことがあります。
本症例は抗菌薬内服後も自発痛と開口障害が進行し、38℃の発熱があります。CTで深部隙の液体貯留や造影辺縁を確認し、気道評価、静脈内抗菌薬、切開排膿を検討します。
画像の確認
実画像では、造影CTで右咽頭側壁外側に低吸収域を含む腫脹があり、咽頭腔が反対側へ圧排されている一方、顔面表層の腫脹は目立たない。深部の咽頭側隙に膿瘍がある配置であり、正答cを支持する。
選択肢の確認
a.顎下隙
誤り。
顎下隙膿瘍では顎下部の腫脹が目立ちやすく、本症例の顔面がほぼ対称という所見と合いにくいです。
b.舌下隙
誤り。
舌下隙膿瘍では口底腫脹と舌挙上が重要で、本症例の中心所見とは異なります。
c.咽頭側隙
正しい。
咽頭側隙は深部にあり、外表の腫脹が乏しくても発熱、嚥下痛、開口障害を生じ得ます。
d.咬筋下隙
誤り。
咬筋下隙膿瘍は著明な開口障害を生じますが、通常は下顎枝外側・咬筋部の腫脹や圧痛を伴います。
e.翼突下顎隙
誤り。
翼突下顎隙感染も開口障害を起こしますが、本問で示される膿瘍部位は咽頭側隙です。
覚えるポイント
- 深頸部感染は外見上の腫脹が乏しくても重症化します。
- 咽頭側隙では発熱、嚥下痛、開口障害に注意します。
- まず気道と全身状態を評価し、CTで隙間感染の広がりを確認します。