117D023|第117回 歯科医師国家試験 過去問
75 歳の男性。上顎左側臼歯部の咀嚼時痛を主訴として来院した。2 週前から食 事中に疼痛を認め、つまようじを入れると激痛が生じるという。診察の結果、5 の抜髄を行うこととした。初診時の口腔内写真(別冊No. 1A)とエックス線画像(別 冊No. 1B)を別に示す。 根管形成で用いるのはどれか。4 つ選べ。

解答・解説を見る
正解: a・c・d・e
正答
a、c、d、e
この問題のポイント
エックス線画像で根・根管の湾曲を認めるため、本来の根管走行を保ちながら形成する操作を選びます。
解説
本症例の根管は直線的ではなく、根尖側に湾曲がみられます。湾曲根管では、手用ファイルにプレカーブを付与して根管へ追従させ、クラウンダウン形成やステップバック形成によって無理のないテーパーを付与します。
形成途中には細いファイルを作業長まで再挿入する再帰ファイリングを行い、象牙質削片による根尖側閉塞と作業長喪失を防ぎます。これに対し、器具を回転させて切削するリーミングは、湾曲部でレッジ、トランスポーテーション、器具破折を起こしやすいため適しません。
画像の確認
実画像では、上顎左側第二小臼歯の遠心隣接面に黒褐色の欠損があり、X線像では同部から歯髄腔に近接する透過像と細い根管が写っている。根管形成でプレカーブ、再帰ファイリング、クラウンダウン、ステップバックを用いる正答a・c・d・eに対応する。
選択肢の確認
a.プレカーブ
正しい。プレカーブによりファイルを湾曲根管の走行へ適合させ、直線化やレッジ形成を防ぎます。
b.リーミング
誤り。リーミングは回転切削を主体とするため、湾曲根管では根管の直線化や器具破折を起こす危険があります。
c.再帰ファイリング
正しい。再帰ファイリングは細いファイルで作業長を再確認し、根尖側のデブリ閉塞を防ぎます。
d.クラウンダウン形成
正しい。クラウンダウン形成は歯冠側から拡大し、根尖側器具への負担とデブリ押し出しを減らします。
e.ステップバック形成
正しい。ステップバック形成は根尖部形成後に作業長を段階的に短くし、連続したテーパーを付与します。
覚えるポイント
- 湾曲根管ではプレカーブで根管走行に追従する。
- 再帰ファイリングで作業長と根尖部の通過性を維持する。
- 回転主体のリーミングは湾曲根管で偶発症を起こしやすい。