119D055|第119回 歯科医師国家試験 過去問
79 歳の女性。食事に時間がかかることを主訴として来院した。以前から食べ終 わるのが家族よりも遅いことを自覚していたが、半年前から顕著になったという。 初診時の口腔内写真(別冊No. 13)を別に示す。口腔機能検査の結果を表に示す。 検査項目 機能低下の該当基準 検査結果 舌苔の付着程度 50%以上 11% 口腔粘膜湿潤度 27 未満 30 咬合力検査 500 N 未満 610 N [パ] 6.0 回/秒 どれか1 つでも、 オーラルディアドコキネシス [タ] 5.0 回/秒 6 回/秒未満 [カ] 5.0 回/秒 舌圧検査 30 kPa 未満 23 kPa 咀嚼能力検査 100 mg/dL 未満 142 mg/dL (グルコース溶出量検査) 嚥下スクリーニング検査 3 点以上 2 点 (EAT-10) RSST 2 回以下 3 回 MWST 3 点以下 4 点 主訴を改善するために行うのはどれか。2 つ選べ。

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正解: c・e
正答
c、e
この問題のポイント
咬合力と咀嚼能力は保たれていますが、舌圧が23 kPaと低く、発音運動速度にも低下があります。主訴の改善には舌の筋力訓練と舌接触補助床が適します。
解説
症例では舌苔、口腔乾燥、咬合力、咀嚼能力、嚥下スクリーニングは基準を満たしています。一方、舌圧は30 kPa未満で低下し、オーラルディアドコキネシスの一部も6回/秒未満です。
舌筋力が低下すると、食塊の形成・保持・送り込みに時間がかかります。舌抵抗訓練などで筋力を高めるとともに、舌と口蓋の接触が得にくい場合は舌接触補助床で口蓋形態を補い、食塊移送を助けます。
症例問題の解き方
すべての検査値を一括して異常とせず、基準から外れた機能と主訴を対応させます。
画像の確認
実画像では多数歯が残存して咬合支持があり、検査でも咬合力と咀嚼能力は保たれている。一方で舌圧23 kPaと「タ」「カ」の反復速度が低いため、舌筋力訓練を行い、舌と口蓋の接触を補う舌接触補助床を装着する。
選択肢の確認
a.咬合調整
誤り。
咬合力は610 Nで基準を満たしており、咬合調整を行う根拠は示されていません。
b.舌の清掃
誤り。
舌苔付着は11%で口腔清掃状態不良の基準に該当せず、舌清掃だけでは食事時間延長の原因を改善しません。
c.舌の筋力訓練
正しい。
舌圧が23 kPaと低下しているため、舌抵抗訓練などの舌筋力訓練が適切です。
d.唾液腺マッサージ
誤り。
口腔粘膜湿潤度は30で低下基準に該当せず、唾液腺マッサージが主訴改善の中心ではありません。
e.舌接触補助床の装着
正しい。
舌接触補助床は口蓋形態を補って舌接触を得やすくし、食塊形成・送り込みを助けます。
覚えるポイント
- 検査値は基準値と一つずつ照合します。
- 舌圧低下には舌筋力訓練を行います。
- 舌接触補助床は舌と口蓋の接触を補います。