120A1|第120回 医師国家試験 過去問
外科系消化器外科急性腹症・腹部救急
胃癌に伴う消化管穿孔による汎発性腹膜炎の治療で適切なのはどれか。
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正解: a
腹膜炎の分類
腹膜炎は病変の範囲と原因によって分類されます。
1. 範囲による分類
- 限局性腹膜炎: 腹膜の炎症が局所にとどまっている状態。
- 汎発性腹膜炎: 炎症が腹腔全体に広がっている状態。重篤であるため緊急的な対応が求められます。
2. 原因による分類
- 一次性腹膜炎(特発性細菌性腹膜炎): 明らかな原因がないにも関わらず腹腔内に感染が成立する病態。腹水が存在する肝硬変患者や腹膜透析患者でよくみられます。
- 二次性腹膜炎: 消化管壁の穿孔などが契機となり、微生物が腹腔内に漏れ出して感染が成立する病態。原因は潰瘍性病変や癌が多いです。
選択肢の解説
本問は「胃癌に伴う消化管穿孔による汎発性腹膜炎の治療」というピンポイントな出題です。
a. 緊急手術(正解)
穿孔性汎発性腹膜炎の治療は緊急手術が原則です(118A13・118A57などで頻出)。
- 初期対応: まず絶飲食と経鼻胃管留置を行うことが重要です。飲食物の腹腔内漏出を防ぎ、胃内容物を吸引するためです。
- 例外: 腹膜炎が軽度の症例では、まず保存的治療が選択されることもあります(114A72)。
b. 腹腔穿刺ドレナージ
消化管穿孔では、汚染部位を生理食塩水で洗浄しドレーンを留置する「腹腔洗浄ドレナージ」(緊急手術)が必要です(穿孔部は大網充填被覆法などで塞ぐ)。
- 腹腔穿刺ドレナージは緊急手術ではなく、超音波ガイド下で針を刺して腹水を抜く非手術的処置です。苦痛緩和や後腹膜膿瘍などに施行されます。
c. 薬物による抗癌治療
急性期である穿孔性汎発性腹膜炎の治療にはなりません。
d. プロトンポンプ阻害薬投与
胃・十二指腸潰瘍が原因の穿孔性腹膜炎で、軽度の場合に保存的加療として投与されることがあります(絶飲食・抗菌薬・経鼻胃管留置と併用)。胃癌による汎発性腹膜炎の根本治療にはなりません。
e. 上部消化管内視鏡によるクリッピング術
胃・十二指腸潰瘍に伴う出血に対して、機械的に締め付けて止血する方法です。穿孔の治療ではありません。