60AM015|第60回 作業療法士国家試験 過去問
34 歳の女性。中学校教諭。既婚で4 歳と6 歳の子どもがいる。半年前に学年主任 になった頃から不眠が続き、欠勤が多くなった。3 か月前から食欲不振、焦燥感およ び不安感が出現し、「死にたい」と訴えたため精神科を受診した。診察の結果、休職し て入院治療を受けることになった。入院後、食欲は改善し、焦燥感と不安の訴えは少 なくなったが、意欲低下の状態が続き、対人交流が苦痛であると訴えた。入院3 週目 に意欲の向上を目的に作業療法が開始された。 作業療法開始から5 週後、安定して作業療法に参加し意欲的に活動に取り組むよ うになったため、家庭復帰と職場復帰が検討された。しかし、本人は家事や育児な どの日常生活に対する不安を訴えている。 この時点での作業療法士の対応で適切でないのはどれか。
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正解: 1
正答
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この問題のポイント
入院中の作業療法段階では、職場復帰のためのOJT(職場内訓練)計画は時期尚早。作業療法士の役割は、退院前の生活不安の軽減と、退院後の支援体制の整備にある。
解説
作業療法開始から5週後、意欲が向上したものの、本人は家事や育児に対する不安を訴えている。この段階では、患者はまだ入院中であり、生活の基本的課題(家事、育児)に対する対処能力が未成熟である可能性が高い。このため、退院前に小グループでの家事訓練(選択肢2)、生活スケジュールの検討(選択肢3)、退院後の外来支援計画(選択肢4)、退院前訪問による生活場面把握(選択肢5)は、生活基盤の整備として適切である。
一方、**現職復帰にむけたOJTを計画する(選択肢1)**は、入院中の作業療法士が単独で実施できるものではない。OJTは実際の職場環境で行われ、職場の人事、産業医、職場の状況を含めた総合的な支援体制が必要である。特に、患者が「死にたい」と訴えたうえで不安や意欲低下が継続している状況では、職場復帰はリスクが高く、段階的に進めるべきである。
作業療法士の対応は、入院中の段階では「生活の安定」を重視し、退院後の段階で段階的に職場復帰支援を進めるべきである。OJTの計画は、退院後の外来支援や生活スケジュールの検討の後に、職場との連携のもとで検討されるべきである。
選択肢の確認
1.現職復帰にむけたOJT を計画する。:適切でない。入院中では実施できない。
2.小グループでの家事訓練を計画する。:適切。不安軽減のための準備的介入。
3.退院後の生活スケジュールを検討する。:適切。生活リズムの維持に重要。
4.退院後の外来作業療法での支援を検討する。:適切。継続的フォローアップのため。
5.退院前訪問指導による生活場面の把握を行う。:適切。自宅環境の把握が支援の土台。
覚えるポイント
「入院中=OJT計画不可」と覚える。作業療法士は退院前の生活支援を重視し、職場復帰は退院後の段階で、職場・医療・個人の状況を総合的に評価した上で進めるべきである。